こんにちは。

だんだん暖かくなってきて少しホッとしています。


去年の夏に読んだ本の感想がやっと書けました。



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最果タヒ『もぐ∞』(河出文庫)

タイトルは「もぐのむげんだいじょう」と読みます。

「想像力が無限大」ってことならまさにその通り!



詩人の最果タヒさんによる食べ物エッセイ集。
ハンバーグに小籠包、パフェ、アイスクリーム……当然と言うべきか、読んでてとてもお腹が空いてきます(笑)。
特に「控えめに言っても、パフェはたべものの天才」と語るほどパフェ愛がすごい!
 

 

パフェは、何もかもを内包する。甘ければ、なんだってパフェの家族になりうるのだ。甘いものの美しさとは組み合わさっても組み合わさっても、ハーモニーであり続けることなのではないか。

―P13より



考えてみればパフェほど「何でもあり」な料理はないかもしれませんね。
いちごやマンゴーなどスイーツ系は定番として、最近だとエビフライとか唐揚げとか、甘くないものまで巻き込んでるし(おいしいのかなアレ…)。
天才というより王様かも?
ちなみに私はチョコパフェ(&ブラウニーは入れて欲しい)派です✨



こういうストレートなグルメ話も良いのですが、食べ物・食事を通して感じた、日常の気付き(あるいは哲学?)もまたおもしろい。


例えば、抹茶を知らないのに抹茶ソフトの味がわかる、という感性が理解できないけれど、そうした少数派の感性はこぼれ落ちてしまう、という話。
 

 

自分の感性が他人の感性を説得することなどできない、思い知らなくては、親切にも拒絶されるために覚悟しておかなければ。

私の舌がかんじとった味を他の誰かが知ることは、決してなかった。

―P86



寂しく聞こえますが、こういうこぼれ落ちた感性が、誰にも真似できない文章になり、やがて(最果さんが書くような)詩や小説に変わるのではないでしょうか。
だから私も周りとの違いは大事にしたいし、できれば言葉にもしていきたい。


食べ物エッセイなので、「ハンバーグが好き」「ドーナツが好き」といった言葉が何度も出てきますが、ある章では、そうした「○○が好き」という感情そのものに触れています。


 

誰かと、自分が共有できることなんて本当に少なくて、むしろたぶんほとんどなくて、だから共有とか共感なんて期待しちゃいけないのだけれど、

じゃあ、共感されなくても、たとえ否定されたとしても、それでもいいと思える気持ち、そんな場所に晒せる感情なんて「好き」ぐらいだということも、わかってしまった。

―P107より

 

 

私は私の「好き」が愚鈍だということを知っていて、だからそれを持ち出すことができているのかもしれない。

そうして軽薄になっていくことは実は妥協でもなくて、むしろ最初から、それがちょうどいいと思っているのかもしれないな。

―P108より




完全にわかり合うなんて無理だけど、知り合った人同士、少しでも何かを分かち合いたいもの。
そんな時、気軽に持ち出せる感情が「○○が好き」。
たとえ軽薄であろうと、そこから会話が生まれて仲良くなれるなら、それでいいと思います。




ちなみにこれ、サイン本です!←プチ自慢♪


この本の章タイトルの1つ、「ジャジャーン、ポールエヴァン!」。
高級チョコのジャンポールエヴァンを、最果さんはどうやって食べたのか。
読んだらきっと「いひひ!」と笑ってしまうはず(´▽`)
 

 

 

 

 




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今日も読んでいただきありがとうございます。

それではまた。