老人のネトウヨ化ってあるのかな | みんななかよく

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 昨日、msn にあった記事。日は続きがアップされています。

 

 老父のネトウヨ化に心乱された息子が「ネトウヨの専門的研究」を読んで驚いたこと…ネトウヨの数は意外に少なかった

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 リンク2

 

  鈴木大介さんという振り飛車党の棋士のような名前のルポライターさんの新著の紹介です。

 

 鈴木さんは、戦中生まれのお父さんの言動が、ネトウヨじみてきたということから、問題意識をもって色々調べてみたらしい。ちなみに御父君は近年、物故されたので直接の対話はかなわないようです。

 

 で、著者はまず、ネトウヨに関する本をあれこれ読んでみたそうな。

 なるほどね。

 

 「参考資料とさせていただいたのは、ある程度左右両面からの視点を求めて、下記の6冊とした。」

 

A『日本人は右傾化したのか―データ分析で実像を読み解く』田辺俊介編著(勁草書房)

B『ネット右翼とは何か』樋口直人他著(青弓社ライブラリー)

C『日本の分断―私たちの民主主義の未来について』三浦瑠麗著(文春新書)

D『保守とネトウヨの近現代史』倉山満著(扶桑社新書)

E『右派はなぜ家族に介入したがるのか―憲法24条と9条』中里見博他著(大月書店)

F『朝日ぎらい―よりよい世界のためのリベラル進化論』橘玲著(朝日新書)

 

 Aは地味な研究書なのかな。Bはタイトルからでは左右どちらともわからない。Cは右系の範疇ですね。Dはどうなんだろう。Eは論点は絞られていそうで、これはサヨちゃん系ですね。Fは現行左翼系言論陳腐化路線とでもいうのかな。あくまで個人の印象です。

 

 筆者が上記のような本を読んで知ったこととしては、

1、実際のネット右翼は少数派だということ

2、保守派には、ネット右翼に対する忌避感が強い

ということで、2006年頃からネットウヨちゃんをからかって遊んできた者としては、とうに承知、ひゃくに合点な話です。

 のみならず、ネトウヨ輩は、自分の方が左右に偏らない真ん中だ、と言いたがるよ。

 

 そこから話は、鈴木さんがいろいろ本を読んで知った知見と、実際の御父君の行動を突き合わせた分析に入ります。

 

  「計量調査から見る『ネット右翼』のプロファイル」にあるネット右翼の定義は以下。

1.中国と韓国への排外的態度
2.保守的・愛国的政治志向の強さ
3.政治や社会問題に関するネット上での意見発信・議論への参加経験

 

 そして、「2.の保守や愛国的志向はないが、嫌韓嫌中でネット上での意見発信活動がある者を「オンライン排外主義者」、SNS等での情報発信がない者を「非ネット排外層」 と定義するそうです。

 

 なるほどねえ。学者さんは違うもんですねえ。しかし、ネットで発信することはないけど、ネット由来の差別語を使って排外的言動を家の中で繰り返す家族というのも、ネット右翼の一部ではないかと、鈴木さんは今ひとつ納得がいかない様子。

 

 さらに 『保守とネトウヨの近現代史』には、

―ネット右翼の三大標的は「朝日新聞と民主党と韓国である」

説かれていて、鈴木さんは思い当たるところが多々あるとしています。

 

 ただ、.ネット右翼の定義としてあげられた「保守的・愛国的政治志向の強さ」を判断する以下の項目については、御父君の意見をほとんど聞いたことがないそうです。

 

・靖国神社公式参拝の是非
・憲法9条の改正の是非
・公教育の場における国旗掲揚・国歌斉唱の是非
・愛国心や国民の責務について戦後教育を見直すべきか
 

 保守的な価値観の何を重要視するのかについて、結構、個人差があるのは考えてみれば当然。戦没者慰霊や軍備増強から、嫌韓、嫌中の感情が生み出されるわけではないでしょうから。

 

 戦中生まれだと育つ時代は戦後すぐ。実際に戦後教育を受けて育ってきているけど、戦後教育の実際って、右翼人士が言うような左翼思想偏向なものではありませんからね。

 ただ、戦後教育でも日本社会の排外主義的傾向は是正されなかったし、後年に起こった嫌韓ブームの培地になるような心性も無くすことはできなかった。

 

 日本型の排外思想って、厄介なもののようです。