望み等無かった

叫べば叫ぶほど 此の産業廃棄物のような歌声は

罵倒を恐れて 胸の内で野垂れ死ぬ


この先の事実など 鶏肉の如し

醜く潰され 揚げられてしまえば良いのであって

無表情なまま 蛙の仮面を剥ぎ取られるのであろう


迂闊な抱擁 口喧嘩の有償

保護しかねる 真似事ばかりの惨術


真夜中が訪れ 貴い人生に祈祷する

失えるほどの孤独なら たふの昔に殺しているだろう

眼球の裏側に待つ 海豹の様な触覚

そうして人は 仏具無くしても感謝する 

常々 世は 産み捨てられた稚児の集まりなのだから


刺々しく煌く街を歩き 伝説でも詰め込んだような顔をする

毛穴一つ一つを犯されてもなお 歓喜の声を貪りたい

守りたいものは 肛門にでもぶち込んでおけば好いのか


あっけらかんと 意味の無い肌に塩を塗る朝

交わす言葉に 中毒性など込めても

ガラクタの様に嬲り返されるだけ


美しく放り投げた感謝を まとめて爆撃したい

靴紐など 首を括る為の玩具にしか成らないのだから

歩き出すほどに 踝が切り刻まれていく日々

熱情の趣くままに 番い合えた時を 克明に殴る

教え返された 世に 養護施設など存在しないという事実を