「ここは日本ですからね~・・・」 | そうべいのブログ

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タイトルの言葉は何度となくJRAの広報室から言われたセリフ。

私、写真人、写真&競馬はアメェ~リカに留学している頃から本格的にはじめた。
そんなんで写真&競馬はどうしてもアメリカが基準になってしまう。
”自由の国・アメリカ”というイメージがあるかも知れないが、"不自由のアメリカ”である。
日本と違い人種が多いので、何事も規則を設けその上で物事が成り立っている。
規則を守りさえすれば何をしても良いのである。
その規則というのが日本に比べかなり柔軟というか、幅が広いというか・・・、どんな場合でも対応できるように規則が作られる。


私、写真人が初めて撮影のための取材票なるものを取得したのもアメリカ。
アメリカ競馬は各競馬場が”民営”のため撮影に必要な取材票は各競馬場で申し込まなければならない。
申し込みに必要なものはまず”写真”である。自分の写真が掲載されている雑誌や新聞があればさら良いがなくても問題ない。
各競馬場の広報室(企画室、宣伝室と呼ばれることも)へ自分の写真・・・すなわち作品を持って行き吟味してもらう。無名、有名、人種は問わない・・・有名に越したことはないのであるが・・・。
持っていったら持っていった分だけきっちり写真をみて評価してもらう。
もし、競馬場関係者に気に入ってもらえれば撮影の許可が下りる。
「今後もがんばって様々な角度から競馬を撮影してもらって作品を発表してくださいね!」
というお言葉と同時に取材票を頂く。

アメリカ東海岸で暮らしていた私、写真人、メリーランド州(ピムリコ、ローレル競馬場)、ニューヨーク州(アケダクト、ベルモント競馬場)、ニュージャージー州(モンマス競馬場)等の各競馬場の取材票を持っていた。もちろん、事前に”写真審査”をしてもらって取材票を得たもの。
若かったせいもあり、「まだまだ写真の技術はイマイチだけど、これからもっとウチの競馬場で経験をしてもらって良い写真を世の中に出していってくださいよ・・・」なんてうれしいお言葉(=社交辞令とはいえ)をかけて下さる。こっちもやる気が出てくるし、世の中に発表せねばという気合も入る。
・・・ニューヨーク州の場合、普段の取材、撮影に関しては駐車場代は払わねばならず、また、メリーランド州はG1レースの日には新たに取材票を申し込まなければならない・・・等々、ちょっとした制約がある。
もちろん、取材票を得るにあたって”規約書(2~3枚)”にサインをさせられる。
規約書&裁判の国、アメリカ・・・これはアメリカ社会の”キモ”にあたる。

取材票を取ればあとはこっちのもの。何でも、どこでも撮影可能となる。
レースの妨害、公正競馬の邪魔をしなければ何を撮っても良い。
そのために規約書にサインしているので、ガンガンやれる。
ただ・・・問題があった場合にはとんでもない金額を請求される場合もあるし、競馬場から永久追放ということもある(たとえば、競走馬に禁止薬物を投与するとか、八百長を仕組むとか、レースの妨害をするとか・・・)。

ちょっと二十歳の頃の写真を整理してみた。場所はメリーランド州のピムリコ&ローレール競馬場である。
今でも大概ヘタくそではあるが、昔はもっとヘタくそだった(涙。
よく見てみると、レース中にもかかわらず馬場の中で撮影しているのがわかる。
何とも怖いもの知らず・・・。
イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

誘導馬の脚の間からレースを撮影したり、スタートゲートの中で撮影したり、わかりづらいが内馬場に設けられた芝コースの中から撮影したりと、今のJRAでは考えられない撮影位置である。


数年してアメリカ大統領がブッシュ(=父)からクリントンに代わり外国人がアメリカで生活しにくくなった。
ビザ(=査証)の制限が始まったからだ。それを機に日本へ帰国。
日本の競馬の仕組みを何も知らなかった私、写真人・・・。
アメリカで撮った”ヘタくそ写真”を何百枚も持ってJRAの広報室へ・・・。
たぶん、写真を見れば私、写真人がやりたい事は理解してもらえるだろうと持っていた・・・。
馬、馬、馬、競馬、競馬、競馬・・・そしてかわいいおねぇ~さんも少々。
ちょっとは感動してもらえるに違いないっ・・・と根拠なき自信に満ちていた若かりし頃の私、写真人。

東京・新橋にあるJRA本部を尋ねる。さすがは”国営競馬(=本当は国営ではないけどね)”馬鹿でかい建物だ。”民営競馬”アメリカの競馬とは比べ物にならない。
電話でアポ&”面接”である。写真をたっぷり持って行ったので自身満々!

出てきた担当者・・・なかなかえらそうなお顔&ちょっと威張っている感じ・・・。
写真はそこそこに
「・・・で、写真人さんは何をしたいんですか!?・・・取材票ですか・・・!?申し訳ないですけど、
フリーランスの方には取材票は発行してないんですよ。雑誌や新聞等の組織に属していただかない事には・・・」
「その日本の雑誌や新聞に写真を掲載するために、取材票を頂いて日本のすばらすぃ~い競馬の写真を撮って発表していきたいのですけど・・・。私、写真人の写真を見て判断してください。」
「・・・写真はわかりました(ぱらぱら4,5枚めくって見ただけ)。アメリカでどのような活躍をされてきたかわかりませんが、ここは日本ですからね・・・。まず、ウチ(=JRA)に来る前にどこか出版社にでも行かれたほうがよいのではありませんか!?よかったらPR誌ですけど「優駿」でも紹介しますよ・・・(シッシッ・・・早く帰れ若造、”心の叫び”)」
「優駿」なんて学生時代に「優駿写真コンテスト」(=いずれも入賞)で応募して以来である。
学生でない今、いまさらそんなPR誌なんて・・・。

日本で日本人で日本語で話をし、なおかつ大量の写真を持っていったのにもかかわらずこちらの意図は全く理解してもらえなかった・・・寂しい限りである・・・(涙。

それからまもなくして紆余曲折はあったものの何とか取材票を取得し競馬場で撮影できる事になたのだが・・・。
撮影の規則が厳しい事・・・厳しい事・・・。
”あそこはダメッ!ここもダメッ!”のダメのオンパレード!
これじゃ~ゴール前の写真しか撮ることが出来ない・・・。
競馬ってひとつのレースにいろんな流れがあるのだけど・・・。
ならばと私、写真人、人柱になるべく様々な場所で撮影するもすべて却下!
・・・今まで何度か始末書を書かされている・・・。
私、写真人ごときが犠牲になって、これから来るであろう新しい若者カメラマンがいろんなところで撮影できればと思ってやってきたのだが、むなしい行動に終わってしまう。
毎年来るのはおとなしいカメラマンばかり・・・。しかも、ゴール前の写真だけとって終わりという輩ばかりである・・・これじゃ~必然的に私、写真人がヒール扱いになり目立って仕方ないではないかっ!

まぁ~良い、ここは日本である。


今回、久々に二十歳の頃の自分の写真を整理したが、なんとゴール前写真の少ない事!
ほとんどゴール前の写真を撮っていない。アリシーバもブライアンズタイムも、サンデーサイレンスも
イージーゴアもこの目で見てきたのにもかかわらず・・・。
それもそのはずでアメリカでは競馬のゴール前写真なんて二束三文にしかならない。

で、ここは日本である。

今にして思えばもったいない・・・結構な金になってたりして・・・。





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