西暦二千年に、


78歳で天に召された 養母は、


キリスト教の熱心な信者だった。


養母の実家は、


韓国 慶州の "世界遺産 佛国寺"檀家総代の家柄。


家庭内の儒教による 厳しい礼儀作法としつけ、


佛国寺の小乗仏教独特の 窮屈な戒律と修行。



跡取りの長男以下の 三姉妹の次女は、


何かにつけて 要領が悪く、


姉妹の真ん中は、あまり恵まれた境遇では 無かったらしい…。


日本の街の中心で、


360度 ぐるり見回すと、生保のビルばかり。


同じように、韓国の街の中心で、


360度 ぐるり見回すと、目に入ってくるのは 教会建築ばかり。



韓国は、アジアで有数の キリスト教国である。


もっとも、養母が足繁く教会に通ったころは、


「 イエス教 」と、称していたらしい。


優しく言葉をかけてくれる 神父、

優しい 姉妹のように接して くれるシスター達、


教会通いの秘密が ひょんな弾みで両親にばれ、


否応なしに 日本に留学中の 養父に、


たった15歳で 嫁いで来て以来、


心置き無く 教会に通いつめた 一生でしたが、


実家にも 韓国にも、


とうとう 一度も帰ることなく、


天に召されました。



一度も帰省しなかったその理由は、


誰ひとり


知りません…。