七歳の2月に日本にやって来て、インターナショナルな家庭生活が始まった。


山口県美祢高等工専鉱山土木科卒業の養父から、「君のマレー語や中国語、その他諸々は我が家では通じないから、4月から通う小学校の国語の教科書を使って、早くお兄さん達から日本語を習いなさい! それから、オモニは日本語が解らないから、お兄さん達から韓国語も教えてもらいなさい。」



"さいたさいたさくらがさいた"、子供ながら真剣に取り組んで、無事今日まで生きて来ました。



「のほう」という言葉、時代劇で大岡越前の守が 「そのほうの、罪状を詮議してつかわす…」とか、少し前には消火器の詐欺販売業者が 「消防署のほうから、販売に来ました…」などと、使っていたはずなのに。



いつの間にか、「のほう」が大流行である。


ファミレスに入るとウェイトレスが、「お客さま、メニューのほう お持ちいたしました…」。



テレビの画面では、気象庁の天気予報官が 「それでは、最新の台風情報のほうお知らせします。 引き続き強い勢力を維持していますので、強風のほう 充分お気をつけ下さい。 またこの台風は北側に大きな雨雲が張りだしておりますので、大雨のほうにも厳重にご注意下さい!」



新幹線の車内販売で、弁当を買おうとしたら、「お客さま、こちらのほうが千円、あちらのほうが千百円になっておりますが、どちらのほうになさいますか…?」



どちらでもいいけど、「のほう」は食べられないと思うのだけれど…。



一生懸命、習い覚えた日本語だけに、なんだかとても気になるんだよね~。