また、台風が来るらしい。


それも、超駑級 今年最大級の、大型台風らしい。


また、どうせ空振りさ!


アルミサッシがまだ巷に普及していない時代、木製建具を閉め、雨戸を締めて、その雨戸を樽木で打ち付けていた、どの家でも。


台風が来るというのに、妙に生暖かい夕暮れだった。


皆の油断とうらはらに、夜9時を過ぎたころからだんだん風が強まり、2時間後にはとんでもない"暴風雨"、「ウワッ!東側の土壁が抜けた!!」高校生の三男の叫び声と同時に、2階から下に向けて壁土が"泥水"になって、1階の障子に降り注いでくる。


いつ、暴風が治まったのか記憶は定かでないが、明くる朝は抜けるような"台風一過の快晴"だった。


我が家に六人もの兄弟がいなければ、我が家はぺしゃんこにつぶれていたかもしれない。


事実、養母に急かされて、大被害の町中からやっとたどり着いた小学校は、跡形もなくぺしゃんこにつぶれていた。


寒風にさらされながら、11月までテント教室で過ごした、小学四年生の「伊勢湾台風」、未だにトラウマなんだよね~。