小学校の五年生まで、生家にテレビテレビという存在はなかった。


だんだん寒くなっていく秋の夜長、晩御飯が済めば、もう布団に潜り込むのが子ども達の当たり前だった。


そんな頃、遅ればせに我が家にもテレビテレビがきた。


今や名前も聞かない、コロンビアなんていう電気メーカー製だったが長音記号1


西部劇「ガンスモーク」 ハイウェイパトロール「ダン隊長」。


生活時間が一変し、朝 通学団に集合してもまだ寝ぼけ眼。


優柔不断なのか、子どもの頃以来現在まで、いったんテレビテレビをつけると、ただひたすらボーッと「バカのように」見続けてしまう。


おおげさに謂えば、人生の大半をただボーッとテレビテレビを見て、無駄遣いしてしまった。


なにもしないで、ただ風に吹かれてぶら下がっているだけの「へちまのよう」でも、考えることはできる。

一年がやたら早く過ぎ去っていくのは、一年を割る分母が年齢のせいだと聞いて納得したが、「何も考えない…何もしない…」でただボーッとテレビを見続けてしまう優柔不断な性格も、ずいぶん加勢しているようだ。


このまま人生が終わってしまえば、まさにただ死ぬまで生きただけで終わってしまう。



焦るな~。