稲盛財団の研究助成を受けた研究者を取材してつなぐ「3S研究者探訪」シリーズ、これまで2回担当させてもらいましたが、#7の取材も担当させていただきました!
今回は神戸大学の林創教授で、分野は「発達心理学」。子どもの嘘のつき方が成長によってどう変わっていくのか。子どもは「嘘」をどういうふうにとらえているのか。子育てや教育に興味のある人、ぜひご覧ください。実験が可愛すぎるので、家にちっちゃいお子さんがいる人は試してほしいです。
3S研究者探訪問 #7 林創
─ 実験と観察で心の仕組みを明らかに ─
嘘と聞いてパッと思いつくのは、誰かを騙すための悪い嘘だけど、嘘にもいろいろな種類がある。誰かを守るために真実を隠す場合もあれば、その場を円滑にするために本当のことを言わない場合もある。子どもが周囲の状況から判断して複雑な嘘をつけるようになるには脳の発達が必要だけども、その力を良いことに使うか、悪いことに使うかは、周囲の大人や環境や触れてきた物語が影響するんじゃないかな……なんて妄想しました。
自分の利益のために人を騙したり搾取したりする人に囲まれていたら、自分も同じようにしないと生き抜くことができないだろう。逆にそんな人が周りにまったくいなかったら、出会ったときに悪い人にコロリと騙されてしまうかもしれない。
物語の中に、他人を踏みにじる極悪非道な悪役が出てくれば、安全なフィクションの中で、悪い人たちの行動パターンを学んで、予備訓練をすることができるのではないだろうか。なんとなくだけど、最近、流行っている漫画やアニメを見ていると、悪役には悪役なりのかわいそうな背景があった…なんて良い話にまとめられているパターンが多い気がして、それはそれで希望があるのだけど、そうじゃない物語も必要だし、書きたいな、と思いました。人を踏みにじることを何とも思わない人が、現実には存在しているから。
子どもから大人になる過程で、わたしたちは何を得て、何を失っていくのか。そんな、いろいろなことを考えさせられる研究でした。取材できてとてもよかったです。ぜひ読んでください。