有閑倶楽部 (文庫版) 第11巻 | 勘違い閉口房

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ひょっとして、こう思っているのって拙者だけ!?

う~ん、ついに出てしまったのだよ、文庫版「有閑倶楽部」第11巻が。
第10巻が発行されてからしばらく間が経つので、ひょっとしてこのまま出ないで終わるのかな~?
とも思っていたが、今回晴れて発行されてしまった。


勘違い閉口房-有閑倶楽部第11巻

                       こちらが第11巻の表紙 ま~一段と派手な色使いで・・・

全く個人的な感情で申し訳ないのだが、この第11巻は発行されないままでいて欲しかった。
それはね、これで「有閑倶楽部」の文庫化も終わってしまうからなのだよ。勿論、これで完結した訳ではないと、
作者もコメントしてはいるが、今後新作が発表される可能性は限りなく低い。
ということは、「次巻を待つ」という楽しみが無くなってしまうという事だ。てなわけで、今回の第11巻発行は、
嬉しいような悲しいような、ちょっと複雑な気分なのだ。

この第11巻収録分は、前巻と若干絵柄が変わって来ていると感じるのは拙者だけではあるまい。
前のエピソードからやや時間が空いたからなのか、掲載誌が「コーラス」に変わったせいか?
ん~、でも前巻分から既に「コーラス」に描いた分になっているしなぁ。結局のところ、理由不明。


勘違い閉口房-有閑倶楽部既存巻

                         こっちは既に出ている第1巻~第10巻


一条ゆかりは「りぼん」に「ティー・タイム」を描いていた頃から好きなマンガ家である。
当時から(いい意味で)少女マンガ離れした少女マンガを描く人だな~と思っていたが、「デザイナー」とか
「砂の城」なんかは、他の一般的な作品と比べて20年は進んでいたと思う。

「こいきな奴ら」では、成り行きから誘拐されてしまった主人公に対して、
『こんなガキ捕まえたって幾サンチームにもなりゃしないじゃない。』という台詞がある。
( ↑ 正確にこうだったかは少々あやしいが)
幾サンチーム?サンチームって何?と思って調べてみると、フランスとかスイスあたりの補助通貨単位らしい。
米ドルでいうとセント、日本円でいうと銭だ。ふ~ん・・・そんなのわかる訳ね~べよ!!
こんな台詞が注釈すらなくさらっと出てくるのが、一条ゆかりのすごいとこだ。

さらに「ときめきのシルバー・スター」では(これも少々あやしいのだが・・・)、イギリス在住の女の子が日本の事を
『世界で一番東の国』と表現しているのだ。我々が普段目にしている世界地図は、日本が中央に位置している。
しかし、イギリスに住んでいる人間ならば、日本列島は右はじにあるのが普通だと思うだろう。
ストーリーとはほとんど無関係の台詞に、ここまでこだわっているのはホント脱帽です。

勘違い閉口房-世界地図

           この地図を見ていると、日本が「極東」地域と呼ばれるのも当然だなと思ってしまうのだった。

一条ゆかりを「ブルジョア漫画しか描けない」と言って嫌う人もいる。
そういった人たちを批判する気はさらさら無い。個人の趣味・嗜好にまで口を出す権利は誰にもないのだからね。
ただ、拙者は一条ゆかりの「現実にはありえないんだけど、でもひょっとしたらあるかもしれない」ゴージャスな
世界を支持する。それだけだ。

有閑倶楽部の新作がいつの日か出ますように・・・