いったい、いつから疑問に思うことをやめてしまったのでしょうか? いつだって、どこでだって、謎はすぐ近くに


あったのです。


 本当に大切な謎はいくらでも日常に溢れていて、そして誰かが答えてくれるのを待っていたのです。




みなさん、こんにちわ。久しぶりに読書日記を書くので、お気に入りの作家さんの本を紹介します。


ななつのこ (創元推理文庫)/加納 朋子
¥546
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 はい、加納朋子さんの『ななつのこ』です。自分は加納朋子さんの本がとにかく好きで、そしてこの本は私が始めて読んだ加納朋子さんの本です。



~あらすじ~
ファンレターとラブレターは、勢いで出すに限るのだ。――短大に通う十九歳の入江駒子は『ななつのこ』という本を衝動買いし、読了後すぐに作者へファンレターを書こうと思い立つ。先ごろ身近を騒がせた<スイカジュース事件>をまじえて長い手紙を綴ったところ、思いがけなく「お手紙、楽しく拝読致しました」との返事が。さらには、件の事件に対する、想像という名の”解決編”が添えられていた! 駒子が語る折節の出来事に打てば響くような絵解きを披露する作家、佐伯綾乃。二人の文通めいたやり取りが、日常に溢れる小さな謎を解き明かしていく。


 この本は短編が7つの構成になっております。物語の中で、この本と同じタイトルの『ななつのこ』という本の話が1話に一つづつ織り込まれていて、一見するとつながっていないように思われる7つの短編が終章できれいにつながるのは、さすが加納さんという感じです。



 この本について、または加納さんについて書くと、だらだら長くなってしまいますので、ここではこの駒子シリーズの第二巻(魔法飛行)のあとがきを添えるだけにしておきます。



 『多くのミステリー作家は、ミステリーは魔法ではない、論理(ロジック)だと言う。しかし、加納さんは、その人たちに向かって、「違うよ、やっぱりミステリーは魔法なんだよ」と返すことだろう』



 加納朋子さんの本を読んだことのある人は、このあとがきを見て、まさしくそのとおりだと思うでしょう。本当に、そんな感じです。加納さんのお話は決して高度なトリックが使われているとは、思いません(安っぽくはない)。しかし、その謎を解き明かしたときの後味は非常にまろよかで、他では味わえないような幸福感を残してくれます。



 加納さんの本は、他のミステリーのように目を光らせるように必死に読まなくてもいいです。ただ、そこで繰り広げられている出来事を、素直に受け止めてみてください。子どもの頃に味わったような不思議な気持ちがよみがえり、周囲の風景にまるで色がついたかのような心地がしますから。


 そうすると、普段見慣れている日常が、ほんの少し楽しくなるかもしれませんよ。