今回は、「遊戯王OCGの10期の環境を大雑把に振り返ってみた」という内容のブログです。


🔲1.10期の黎明期 2017年4月〜2017年7月(新マスタールール施行後の環境)


◎概要

10期になり、新システムとしてリンク召喚が実装され、環境は大きな転換点を向かえました。




そして、5月にはアニメ遊戯王VRAINSの放送がスタートし、それに伴い、主人公の藤木遊作がメインで使う新たな種族としてサイバース族が登場しました。
リンクモンスターはこのサイバース族のモンスターを多く有し、サイバース族は正にリンクモンスターを象徴する種族でもありました。



遊戯王の環境における変化としては、前回取り上げた新マスタールールの影響で、EXデッキからの複数展開を行う既存のデッキが大きく弱体化し、ほぼ全ての展開系デッキがこのルール変更に泣かされることとなりました。





特に【魔術師】を始めとしたPデッキは、構築の根本からの見直しを迫られるほどの大幅な弱体化を受け、環境からは姿を消しました。

※そして【イグナイト】は、従来のコンセプトそのものが破綻し、デッキとしてほぼ終わりました…。







※尚、この辺のデッキは「モンスターゾーンが増えた!」とか言って大喜びしていましたけど…。



◎リミット・レギュレーション

1.新禁止カード(3枚)

●《十二獣の開局》:無制限→禁止
●《十二獣ドランシア》:無制限→禁止カ
●《Thetyrant NEPTUNE》:無制限→禁止


2.新制限カード(4枚)

●《十二獣モルモラット》:無制限→制限
●《BF-朧影のゴウフウ》:無制限→制限
●《妨げられた壊獣の眠り》:無制限→制限
●《黒き森のウィッチ》:禁止→制限


3.新準制限(8枚)

●《E・HERO エアーマン》:制限→準制限
●《ゴヨウ・ガーディアン》:制限→準制限
●《終末の騎士》:制限→準制限
●《爆竜剣士イグニスターP》:制限→準制限
●《氷結界の竜ブリューナク》:制限→準制限
●《炎舞-天璣》:制限→準制限
●《洗脳-ブレインコントロール》:制限→準制限
●《妖精伝姫-シラユキ》:無制限→準制限


4.無制限(3枚)

●《アーティファクト・モラルタ》:準制限→無制限
●《聖なる魔術師》:準制限→無制限
●《DDラミア》:準制限→無制限


前回の環境で、完全に一強状態であった【十二獣】に大きな規制が掛かり、ドランシアと開局の2枚が禁止、モルモラットが制限カードに指定されました。モルモラットの②効果は効果の性質上、デッキに2枚以上ないと使えないので、制限化はほぼ禁止に近い宣告でした。

また、tyrant NEPTUNEの突然の禁止化については、《LL-アセンブリナイチンゲール》と合わせた強力コンボを禁じるためのものです。これがどういうコンボかというと、彼方をカップ麺で出して、それをリリースしてネプチューンをアドバンス召喚すれば、「打点5000 完全効果耐性 毎ターン5000バーン」という凶悪なモンスターが誕生するというものです。

《妨げられた壊獣の眠り》は、ブラックホールをしつつ、好きな壊獣をリクルートできるという高性能な魔法カードで、壊獣自体の汎用性も相まって、多くのデッキで出張パーツとして採用されたことにより、制限カードに指定されました。

シラユキに関しては、【十二獣】の規制により、前環境で時折見られていた【芝刈り〇〇】系のデッキが台頭する事を予想した上での規制となります。一方で、十二獣をサーチできる天璣については、逆に十二獣の規制を踏まえて準制限に緩和されたた形になりました。

その他、今回緩和されたカードの多くは、かつての環境デッキの必須パーツやエラッタにより禁止から釈放されたカードが殆どとなっています。




しかし、その改訂の中で、取り分け目を引くカードがありました。それが…。




  BF-朧影のゴウフウ

です。

このカードは、自分の場にモンスターが存在しない場合にノーコストで特殊召喚でき、さらにトークンを2体生むというモンスターでした。ただし、このトークンはシンクロ素材やアドバンス召喚のリリースに使えないので、これまでは【メタルフォーゼ】デッキで融合素材兼破壊用のコスト要因として細々と使われていた程度でした。

しかし、今回の新ルールと共に登場したリンクモンスターは、素材にトークンを使う事ができるので、このカードは召喚権を使わずモンスター3体を並べられるという紛れもない超パワーカードへと生まれ変わりました。

その事を踏まえ、10期に入るにあたり事前に規制された形となりました。

尚、このカードはチューナーという特徴もあるのですが、それが本領を発揮するのはまだ先の話…。





遊戯王の環境




上記の新マスタールールの影響を受け、EXデッキに頼らない【アドバンス軸真竜】が環境トップに躍り出ました。

加えて、EXを使いつつもメインデッキに切り札モンスターを多く抱える【恐竜真竜竜星】がトップクラスデッキとして引き続き環境で活躍しました。

また、今回の改訂で大きな規制を受けた【十二獣】も、メタビート要素を取り入れたり、真竜と合わせたりして、環境クラスのデッキとしては十分残りました。

その他にも、10期最初のレギュラーパックである「CODE OF THE DUELIST」で登場した新たなカテゴリである【トリックスター】は、豊富なサーチ手段に加え、バーンやハンデスなどのコンボを行う事ができ、環境に台頭し出しました。



◎この時期に登場した注目の新カード


1.《ファイアウォール・ドラゴン》(CODE OF THE DUELIST 収録)



アニメ遊戯王VRAINSの藤木遊作(Playmaker)の切り札として登場したOCG初のリンク4のリンクモンスターです。

リンク4モンスター、と非常に出しづらいものの、素材指定が「モンスター2体以上」と非常に緩く、《スケープゴート》1枚なんかから出すこともできます。

そして、効果も①場にいる限り1度だけ使える場の墓地のモンスターバウンス(同名ターン1なし)、②場のモンスターが墓地へ行った場合に手札のモンスター特殊召喚(同名ターン1なし)とかなり危ないスペックを抱えたモンスターでした。
登場当時は、同パックで登場した【星杯】デッキや、満足民御用達の【インフェルニティ】デッキでソリティア要因として採用されていました。尚、このカードが本当に暴れ狂い散らかすのは、おおよそ半年後以降の話…。



2.《トリックスター・リンカーネーション》(CODE OF THE DUELIST 収録)



相手の手札を全て除外しつつ、その数だけドローさせるという罠カードで、普通に使うだけだと、除外ではあるものの、相手の手札交換を許す1枚になりかねません。

しかし、【トリックスター】においては、《トリックスター・マンジュシカ》も合わせてチクチクバーンを行うカードとして活躍しました。

特に凶悪だったのは、《ドロール&ロックバード》と合わせた「全ハンデスコンボ」です。

相手のサーチに合わせて、《トリックスター・リンカーネーション》を発動し、その後《ドロール&ロックバード》の効果を発動すれば、相手は全ての手札を除外という形で失い、さらにそのターン中の如何なるサーチも封じられます。この凶悪コンボがたった2枚で行えるというのが、このデッキの強みでもありました。



3.《ミセス・レディエンド》(CODE OF THE DUELIST 収録)



新マスタールールの影響により、EXからの展開を主とする多くのデッキが弱体化を受けてしまいました。
そのためにリンクモンスターを採用しなければならなくなったのですが、その当時あったリンクモンスターというのが、リンク3の《デコード・トーカー》や、サイバース限定の《ハニーボット》など、既存のデッキにリンクマーカー確保要因として、決して使いやすとは言えないものばかりでした。

しかし、そんな中、このミセス・レディエンドは、「地属性2体」という緩い縛りの「リンク2」モンスターで、更にマーカーが「右下・左下」と非常に使い勝手の良い拡張要因でした。そんなこんなで、10期初期のリンク環境は正に「ミセス・レディエンド様様」の時代でした。




4.《戦線復帰》(CODE OF THE DUELIST 収録)



こちらは汎用性の高いカード。罠カードではあるものの、「墓地から好きなモンスターを守備限定だか完全蘇生できる」と正に往年のリビデの上位互換のような性能を有する蘇生カードでした。

守備限定なのでリンクモンスターを蘇生できないというデメリットはあるものの、罠で蘇生を行いたいデッキ(【アーティファクト】など)において必須カードとして採用されるようになりました。




5.《No.41 泥酔魔獣バグースカ》(COLLECTORS PACK 2017 収録)



こちらはXモンスターですが、「レベル4モンスター2体」の汎用ランク4モンスターであり、更に自身が守備で存在する限り、場のモンスター全てを守備にしつつ、効果を無効化する、という破格のロック性能を有していました。

リンクモンスターに効かないという弱点はあるものの、途中の素材展開に於いては一定の拘束力を発揮しますし、逆に自分がリンクモンスターを主体とするデッキなら、自分がリンクで展開し終わった後にこのカードを出して蓋をする、という戦術が可能であり、リンクを扱うデッキと相性の良いモンスターでもありました。

登場は10期の初期ではありましたが、その後の10期環境全体を通して活躍し続ける事となったXモンスターの1体です。



◎まとめ

今回の話をまとめると、

1.新たな召喚法であるリンク召喚の実装により、EXを使うデッキが弱体化

2.EXを使わない【アドバンス軸真竜】が環境トップになる

3.《BF-朧影のゴウフウ》がリンク召喚時代の寵児となる?

4.《ファイアウォール・ドラゴン》が登場。しかし暴れるのはもう少し先



今回はここまで!
次回は「まだまだ10期の始まり 2017年7月〜2017年10月(【十二獣】の終わりとリンク4界の圧倒的切り札の登場)」です。