薔薇一輪(詩・再掲)。 | プールサイドの人魚姫

プールサイドの人魚姫

うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。

Nikon D810,Mモード,WB晴天,ISO64,SS1/125,f/5.6 TAMRON SP90mm f/2.8 Di MACRO VC USD

 

 

 

 

君と一緒に見た薔薇

仄かに香るその中で

同じ夢見ていたあの日

二度と帰らない

二度と振り向かない

美しい季節とは裏腹に

わたしの心に

揺れて舞い散る

薔薇一輪


 

 昨年11月25日、芝公園に咲いている秋バラの撮影に行った。私はこの薔薇に対し、苦手意識を抱いておりこれまで撮影の機会は多々あったのだが、ずっと避けて来た。花の女王と呼ばれるこの華麗で妖艶な花を目前にすると、その圧倒的な存在感に負けてしまいシャッターを切るまでに至らなかった。

 如何にしてこの女王を撮影すればその被写体に負けない写真を撮る事が出来るのか、随分と試行錯誤していた。その時に閃いたのが「薔薇こそマクロレンズ!」だった。私は広角レンズの風景ばかりに因われ過ぎ、最も基本的な事を忘れていたようだ。

 地面ギリギリに咲いているパンジーなどと違い鋭い枝を持つ薔薇だから、無理な姿勢を必要とする事もなく撮影そのものは意外と苦労せずに済んだ。限界ギリギリまで寄って撮るのも良いが、被写体が何なのか?と分からなくなるほど寄ることはせず、被写体との丁度良い距離感を保つ事が大事であると思う。

 そして私がいつも心掛けている事は「自分が被写体になる」という事。自分が花だったらどのように撮って貰いたいか、と被写体の気持ちになってみる。これは相手の気持ちに立って考えるという、コミュニケーションのあり方にも通じる事である。普段忘れている事や気付かなかった問題点など、レンズを通してカメラは色々教えてくれる有り難い相棒でもある。