恋人はサウスポー。 | プールサイドの人魚姫

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うつ病回復のきっかけとなった詩集出版、うつ病、不登校、いじめ、引きこもり、虐待などを経験した著者が
迷える人達に心のメッセージを贈る、言葉のかけらを拾い集めてください。


プールサイドの人魚姫-亀田

 7日、大阪・ボディメーカーコロシアムで行われたプロボクシング、WBAバンタム級タイトルマッチ「亀田興毅VSパノムルンレック・カイヤンハーダオジム」の一戦は、チャンピオン亀田興毅が辛くも2-1で判定勝ちを納め、チャンピオンベルトを守り6度目の防衛成功を果たした。

 然しながら、試合後のリング上では勝利を祝うチャンピオンの笑みは影を潜め、持てる力の全てを出し切った挑戦者の清々しい姿とは対照的にどちらが勝者なのか分からないほど会場も重い空気に包まれていた。

 試合前半、チャンピオンをロープ際に追い込み、細かいパンチの連打を浴びせる挑戦者は不敵な笑みを浮かべつつ、サウスポーを苦手とする亀田の弱点を知り尽くしたかのように、挑戦者の繰り出した強烈な左アッパーが亀田の顎を捉え、試合序盤から挑戦者に先手を取られると言うチャンピオンらしからぬ体の動きが試合の展開に不安を抱かせていた。

 顔を赤く腫らし、鼻からは鮮血がほとばしり、その痛々しさに会場に詰めかけたファンも波乱の予感を抱かずには居られなかっただろう。

 勝利を確信したかのように、時々笑みを見せるほどに挑戦者は余裕すら見せていた。追い詰められているのはチャレンジャーではなく、確かに亀田興毅自身であった。

 結果は僅差での判定勝ちであるが、試合経過を振り返ってみると事実上の亀田敗北と言ってもよいだろう。それはリング上でうなだれる亀田自身の言葉が物語っていた。

 多くのファンの前で土下座までして懺悔を乞うチャンピオンの姿は余りにも痛々しく、自分の目指すボクシングが出来なかった事への悔しさと自責の念でマットは重く沈み込んでいた。

 ボクシングに限った事ではないが、自分が相対する相手は恋人のような存在である。相手を知り尽くす事によって自分には無いものを発見し、それを自分に置き換えてみるという心理面でも相手を上回る事で試合を有利に進める事が出来る。これは謂わばプロポーズにも似ている。

 相手をこちらのペースに持ち込んでしまえば勝利は目前であり、恋の駆け引きもこれと同様であるからだ。恋人が必ずしも自分の得意とする相手とは限らないし、苦手な側面も必ず持っているだろう。故に亀田興毅の恋人はサウスポーなのである。意味不明(´∀`*)