隣でタキシードを着た潤が微笑んでいる。
桜もどこからか見てくれているといいな。
絶対にまた逢える。
なぜなら私達は絆で繋がっているから。
そのときには、またたくさん話しをしよう。
どこかに居る桜へと想いを馳せる。
そして私は大好きで掛け替えのないこの親友共にこう伝えるのだ。
「ありがとう」
-END-
隣でタキシードを着た潤が微笑んでいる。
桜もどこからか見てくれているといいな。
絶対にまた逢える。
なぜなら私達は絆で繋がっているから。
そのときには、またたくさん話しをしよう。
どこかに居る桜へと想いを馳せる。
そして私は大好きで掛け替えのないこの親友共にこう伝えるのだ。
「ありがとう」
-END-
「せーの」
陽太が音頭を取ろうとする。
「おめでとう」
「おめでとう」
仁美と康広が口裏を合わせていたのだろう。
陽太の音頭が言い終わらないうちにお祝いの言葉をくれた。
「おい! せーのっおめでとうってタイミングだっつったろうーが!」
陽太はからかわれた事に気付いていないようだ。
「洋子おめでとー。
村山ぁ! 洋子泣かせたら頬が千切れるまで抓る刑だからな!」
隣で潤が苦笑いをする。
「泣かせたらマジで頭から喰うからな」
仁美がすれ違いざまに潤に呟くのが聞こえた。 おいおい。
「幸せにな」
康広が優しく笑う。
私は立ち止まって、たった今出てきたばかりの教会の方を振り向く。
そして手に持っていたブーケを綺麗なパーティドレスを着た仁美に渡した。
ブーケを受け取った仁美は顔を真っ赤にしてガハハと笑う。
いつもの照れ隠しだ。
入院以来見違える程痩せてしまった仁美であったが、
私の好きなえくぼはそのまま、可愛い笑顔のアクセントになっている。
ドレスに負けない程に美しく長い髪は、
サラサラと音を立てるように風と遊んでいる。
その姿は確かに「姫」と崇拝されていてもおかしくない。
うん。 やっぱり私が思っていた通り、仁美は綺麗で可愛い。
『洋子』
皆がいなかったら私は今ここにはいない。
それだけは自信をもって言える。
私をいつも護ってくれた仁美。
希望という光をくれる陽太。
そこに居るだけで力強く頼もしい康広。
そして三人がそのまま風景になったようなあの場所。
あの桜の木が居なかったら、私達は今ここにはいない。
桜の木が姿を消してから、一年が経っていた。
私達はゆっくりとその現実を受け止め、それぞれの生活を生きていた。
大事な場所が姿を消した事は、少なからず喪失感を伴い、
時に私を苛む事もある。
しかし、あの桜の木との出逢いで得たものは山のようにあっても
失ったものなど何一つとして無いと思う。
繋がりというのは人と人だけの物ではない。
あらゆる生き物はあらゆる場所、
もしかすると、物でさえとも繋がり合えるのだ。
繋がり合う線と線が絡み、より強力に結びつく。
そこに生まれる絆は計り知れない力の源になりえるのだ。
私は仁美に出逢い、そして陽太と出逢った。
そして康広に出逢い、四人には絆ができた。
その絆は陽太と桜の木を出逢わせ、そして桜の木と私達にまた絆が芽生えた。
絆が世界を作っている。絆が繋がる所に本当の出逢いがある。