私のルーツは、祖母です。
物心つく前に、両親が離婚し、
私と妹は、父方に引き取られました。
父は、その頃、祖父とともに、
果樹園経営を始めたばかりで、
早朝から夜遅くまで農業に専念していたので、
幼い私と妹の世話をしてくれたのは、祖母でした。
50代半ばで、再び孫二人の子育てを
しなければならなくなった祖母ですが、
同時に、仕事もバリバリしていました。
祖父と父が起こした果樹園の手伝いです。
祖母もまた、始めたばかりの果樹園を軌道にのせるため、
祖父や父に劣らず、一日中、働いていたと父から聞きました。
私の幼い頃の記憶でも、たしかに、家にいる祖母よりも、
外にいる祖母の記憶のほうが多く残っています。
小さい頃から、家族のために、
懸命に働いていた祖母の姿をみてきました。
小さい頃から、母親的存在である祖母が、
外でバリバリ働くことは、しごく日常だったのです。
そんな祖母から、常々、言い聞かされていたことがありました。
「(結婚しても、子供ができても)
ずっと働きつづけられるように、手に職をもってほしい。」
いつの頃からか、祖母にそう言われるようになりました。
その頃は、とくに疑問もなにも思わず、
それが祖母の希望なんだと思っていましたが、
大人になってから、わかったことがあります。
祖母は、今でいうシングルマザーの子供で、
小さい頃、貧しく苦労していたそうです。
幼心に、女性でも働いて生活できる力が必要だということを、
身をもって味わってきたのだと思います。
次回につづきます。
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