酸素マスクをつけて、


点滴の管につながれ、


目覚めたカーテンで仕切られた小さな場所。


聞こえて来るのは、


他の患者さんの話し声。


弱音吐いてる。


それを一生懸命励ます家族。


お決まりのように毎日繰り返すそれ。


私よりずっと年をとった人ばかりが、
家族に甘えてる。


私はただ時間の感覚もないまま、天井を見ていた。




私の家族は、私と子供だけ。


私が弱音を吐くわけにはいかなかった。


隣りのベッドで泣くおばさん。


気の毒なことだな…
そう思いながらも、私の中の毒は、
「泣ける場所があっていいわね」

そんな冷たいことを言う。






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雨の中、


血だらけの口のまま、バスに揺られて、


初めて、


悲しい、と一瞬だけ思った。


早く、早く治れ。


そうしたら、


裁判。


紙切れの呪縛、

過去の暴力暴言三昧の日々のトラウマから抜け出せる。


早く、早く…


私が力尽き果てる前に…