引退はもうすぐか? サロンカーなにわが久しぶりの運行 | 金屋代かずおのお部屋

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周防大島町を拠点に鉄道旅行・鉄道もけいの活動を行っています.

(本キャンペーンと見紛う豪華ラインナップ;画像は今回運行する列車の編成ではありません)

 

本日2022/5/25,JR西日本は2023年夏季開催予定の「兵庫デスティネーションキャンペーン『兵庫テロワール旅 ―私の感動、その先へ。―』」のプレキャンペーンの詳細を発表しました.

詳しくは以下のニュースリリース・サイトをご覧ください.

 

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220525_05_hyogoDC.pdf

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/220525_04_hyogoDC_pre.pdf

 

単独記事になっていると言うことは,これの事実だけが重要ではないと言うことです.

「サロンカーなにわ」久しぶりの運行

なんと,「サロンカーなにわ」が2020/12以来,大変久しぶりの営業運転となります.内容は以下の通りです.

  • 区間:姫路・播但・和田山・山陰・浜坂
  • 日程:往路は9/3(土)・復路は9/4(日)
  • 乗車受付:日本旅行主催の旅行商品として販売
「サロンカーなにわ」は2020/3以降,稼働頻度が極めて少なくなっていますが,こと,ディーゼル機関車牽引となると2020/3以降では,2020/11/7・8以来2回目となります.「青春18きっぷ」有効期間中であることもポイントであり,乗車・撮影とも非常に注目される列車になるでしょう.
(この節は間違いがありましたので修正しました)

「サロンカーなにわ」の去就

「サロンカーなにわ」は国鉄大阪鉄道管理局・JR西日本を代表する車両となっていますが,すでに製造から約50年,改造から約40年を経過し,老朽化は隠せません.とはいえ防弾ガラスを装備するなど「お召し列車」の運用に使用されるなどの事情から,複数回洗面台窓・2号車・オロ14 706の窓を埋めるなどのリニューアル改造がなされており,継続して使用され続けてきました.2017年6月には前回の全般検査を受けています.
※オロ14 706の窓埋めは2011年以前に行われていましたので修正しました.
 
ここで「データで見るJR西日本」を見てみましょう[1].このP120によると,客車の全般検査周期は72ヶ月(または80万キロ;「サロンカーなにわ」は今回満たしていないと思います,35系客車は96ヶ月です)でありますので,2023年6月には全般検査を受けなければなりません.その検査は主要な部品をバラバラにして検査するという,自動車の「車検」と比較すると大掛かりな検査となり,億単位の多大な費用がかかり,観光列車用の車両にはこの検査を受けずに廃車となる,その際に大規模な再改造を行うというパターンもあります.実際,「瀬戸内マリンビュー」→「etSETOra」や「みすず潮騒」→「〇〇のはなし」の改造は全般検査のタイミングですし,「伊予灘ものがたり」の車両変更は全般検査の関係がありました.そして,いすみ鉄道のキハ28 2346はそのため(+エンジンの部品確保など)の費用が「現在のいすみ鉄道運賃収入の年間売上を超える金額が必要」と言うことで引退に追い込まれたほか[2],トキ鉄の413系は検査期限いっぱいである「2022年度いっぱいまでの運行」と予告され,多数のグッズ販売や「四五五神社」などを活用した資金あつめを行っています.
なお,現在JR西日本で全般検査を受けた車両には,新型電車の「全般検査」相当の検査が「距離保全」「期間保全」に分かれたこともあり,前回の全検表示がありません.
 
[1]:

https://www.westjr.co.jp/company/info/issue/data/pdf/data2021_15.pdf

(「データで見るJR西日本」は毎年発行されています)

[2]:

 
(この節は筆者の予想・想像の類が含まれます.ご注意ください)
と言うことは,走るたびに沿線で通過時間帯の駅員・警備員を多めに配置し,場所によっては警察官が出動することもあるほどの莫大な警備費用がかかる「サロンカーなにわ」の運行を,2023年6月までを持って終了するという判断がすでになされていても不思議ではありません.防弾ガラスを装備しているといっても,令和時代になってJRで,特別な車両・列車で運行されたお召し列車の運行実績はわずかに1例,基本的にお召し自動車を中心とした車列を組む方が警備上得策であり,そもそも島根県で実施された「2021年全国植樹祭」には,天皇陛下におかれましてはリモートでのご参加となっていました.国賓の外国国家元首への接待であるのであれば,関東地方内での運行で足り得ます.仮にJR西日本で防弾ガラスを装備する非電化線用車両が必要であれば,「キイネ87系」「キハ189系」に防弾ガラスを装備するという手もあります.必ずしも「サロンカーなにわ」を残す必要はないでしょう.そして,運用終了の際に事前予告は行われないと思われます.「京都鉄道博物館」での展示も2019年にすでに行われています.
となると,今後の「サロンカーなにわ」の運行機会は,乗車・撮影の両面で非常に貴重なものとなりえます.安全な運行には皆様のご協力が必要です.
 
一方で,JR西日本では電気・ディーゼル機関車の全般検査を2022年現在でも行っています.車両の去就については実のところ全く予断を許さないのが実情です.

その他の「兵庫テロワール旅」

「テロワール」とは「産地特性」などを意味するフランス語由来の言葉で,主にワインなどで使われます.兵庫県の持つ多様な土地感覚を楽しんでもらおうと,「WEST EXPRESS 銀河」が7/1〜7/3に福知山線経由で城崎温泉まで(既報),「うみやまむすび」が城崎温泉〜餘部に,観光型高速クルーザー「SEA SPICA」が神戸港〜淡路島に運行されるなど,鉄道・船舶のみでもさまざまな取り組みがなされます.これらの事業は事前に兵庫県内で入念に練られたもので議事録が公開されており[4],要望が叶った形となりました.この機会に兵庫県が注目されればと筆者も願います.
 
[4]:

 

ちなみに,筆者は「サロンカーなにわ」に乗ったことはありません.ツアーの価格・競争率などが厳しいものとなりますが,今後は運行線区や価格・申し込み方法に関係なく,最優先で検討しなければならないと思います.一方,「WEST EXPRESS 銀河」の存在から仮に乗車できなくても仕方がないとも思っています.各種災害には気をつけたいところであり,当然ですが今回の運行も中止になることは十分あり得ます.

 

8/8追記:

1ヶ月を切りましたが,ついに募集要項が発表されました.「8/10 14:00」発売開始です.

 

8/10追記:

高額なツアーとして設定されましたがすぐに売り切れたようです.筆者も購入することはできませんでした.乗車できないのであれば優先度は高くなく,筆者が現地に行くことはおそらくないと思います.今後も筆者は「サロンカーなにわ」の動向を追っていこうと思います.

 

9/4追記:

当該列車は運行されました.少々ならぬトラブル(駐車違反摘発・普通列車の遅延)があった様です.関係者の皆様はお疲れ様でした.なお,筆者は現地には行きませんでした.