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【ネット】 2ちゃんねるの影響力、首相・天皇・マスコミよりも大きい…日本人の本音が分かる、世界最大の掲示板




・米Nike社は4月、渋谷に屋外広告を掲載した。この広告は、ブレーキのない競技用自転車を
 手にした若者たちの写真に「ブレーキなし。問題なし。」というコピーが書かれたものだった。
 即座に、日本で最大かつ最も有力なネット掲示板、『2ちゃんねる』の「自転車」板で猛烈な
 議論が始まった。掲示板メンバーはすぐに、Nike社、警視庁、経済産業省などに対し、
 一斉に抗議の電話をかけ始めた。メンバーは関係者に、ブレーキのない自転車で下り坂を
 駆け下りることの危険性について懇切丁寧に説明。48時間も経たないうちに、広告は撤去された。
2ちゃんねるは、日本的なネット上の現象だ。このサイトが日本の世論に対して及ぼす影響力は
 総理大臣、天皇、既存のマスコミを合わせたよりも大きい。2ちゃんねるは、製品のレビューを
 読む、ソフトウェアをダウンロードする、大便の大きさからクイズ番組での解答まで、ありと
 あらゆるものを比較するといったことが可能な、愉快で有益な場としても機能している。
 その一方で、ここに書き込まれた会話がもとで株価に影響が出たり、慈善を目的とした集会が
 開かれたり、大規模なコスプレダンス集会が秋葉原の歩行者天国で開かれたり、テロ行為が
 食い止められたり、自殺者が出たりすることもある。

 日本のネット文化をテーマにした著書もある鈴木謙介氏は、「2ちゃんねるは、すべての個人に
 潜む赤裸々なヒロイズムを刺激する」と語っている。「こうした状態には危険が付きまとうが、
 所属するコミュニティーの制約により、普段の生活では本当の感情を表現できない場合、
 2ちゃんねるの役割は本当に重大だ」

 2ちゃんねるコミュニティーは、匿名性がもたらす無秩序な混乱の場であり、日本人にとっては
 厳格で型にはまった日常生活から解放される場となっている。2ちゃんねるは1999年5月、当時
 アーカンソー州の大学に通っていた西村博之氏が、大学の寮で立ち上げたのが始まりと
 言われている。2ちゃんねるには管理体制はない。何人かのユーザーがボランティアで
 「削除人」になり、その緩やかなガイドラインに外れた投稿を削除しているだけだ。
 慶應義塾大学の特別研究教員、岡部大介氏は、「2ちゃんねるには、他のどこにも存在しない
 自己決定の文化がある。人々が草の根レベルでマスコミと戦える、ネット上の特別な場所だと
 広く認識されている」と話す。
 日本では、はっきりと自分の意見を述べて恥をかくことを恐れ、人前での発言を控える人が
 多い。だが、2ちゃんねるでは、市民が政治家や有名人を批判したり、子供たちが両親に
 対する不満を書きつのったり、学生が教師の悪口を言ったりできる。「授業で何かくだらない
 ことを言えば、たぶん、その日のうちに2ちゃんねるに取り上げられるとわかっている。結果として
 そのことが理由で言動を慎むこともある」と、岡部氏は話す。

 2ちゃんねるは当初、西村氏が所有するサーバー群にホスティングされていた。だが
 2000年8月、2ちゃんねるが巨大になりすぎ、西村氏は資金を使い果たしてしまった。
 そこで、掲示板の消滅を恐れた「UNIX」版のプログラマー・チームが『read.cgi』コードを改善
 してサーバーを救った。西村氏は運営費を賄うため、専用ブラウザを用いた過去ログへの
 アクセスに33ドルの年会費を課金し始めた。その後、スパムフィルターとIPログが導入された。

 現在、1日あたり250万件の書き込みがあり、稼働中の板は800、無数のスレッドが立てられて
 いる2ちゃんねるは、世界最大の掲示板と言える。普通の人々のとりとめのない書き込みで
 溢れていることが多い一方で、そのカバーする範囲はきわめて広く、スレッドの影響力も
 非常に大きいため、企業や当局も注意深く監視している。

 単体では世界最大の広告代理店、電通には、2ちゃんねるを絶えず監視し、人々の関心の
 対象を調査する「バズリサーチ」システムがある。また、顧客企業に対し、オンラインでの
 評判を管理する方法をアドバイスするコンサルタント会社も複数存在する。