小学生だったときの話。
狭い世界を窮屈に思いながら
その狭さをリアルに
実感できなかったころのこと。
クラスに転校してきた女の子は
とても細く小さかった。
あきらかにチビだった私が
初めて背の順並びで2番めになったのだ。
シャイな彼女は
なかなかクラスに溶け込めずにいた。
少しずつ話をするうちにかなりの読書家であることがわかった。本好きな私はたまに彼女の家へ遊びに行く。彼女のお母さんはとても喜んでもてなしてくれた。乾いた空気を温める笑顔でとても優しそうだった。友達の少ない娘を心配していたのかもしれない。
ある時お母さんは娘の出産がどれだけ大変だったのか、また病気のことなど話してくれた。
今から思えば、小学生にわかるようにわかりやすい単語を選んで話してくれていたのだと思う。
娘をとても大切に思っていることが伝わった。
それからしばらくして、子どもにありがちな友達の変化によって彼女と遊ぶことが少なくなった。
子どもは純粋で残酷だ。
中学校では同じ部活やクラスになることも無かったし接点はなくなった。
私は彼女の苗字は憶えているが
名前は忘れてしまっている。
よく思い出すのは
彼女のお母さんのことだ。
胸の奥がきゅんと痛くなる。
