親父。
親父は三兄弟の次男。親父の家庭は大工の親方の家で金持ちだった。
親父の兄がとても優秀な人で、小さい頃から比べられてて、頭の悪い父は爺さん婆さんには可愛がってもらえなかったんだって。
お兄さんは頭も良くて、学校の生徒会長を務めるようなタイプで、妹さんはめちゃくちゃ美人でお嬢様。
親父は高校時代からパンチパーマ、薬、ギャンブル、酒、家にも帰らないでずっと遊んでたらしい。
俺が小学2年生の頃、父方、母方の爺さん婆さんが見事に全員死んでしまって、それ以来、一回死んだ老婆に会った事があるだけで、爺さん婆さんの記憶もほとんどない。
両親からあまり爺さん婆さんの話も聞いて来なかった。
たまに親父が話す事と言ったら、『俺はじいちゃんばあちゃんに嫌われてたから』って言う事だけだった。
けど、俺は知ってる。
親父の兄さんは、30年ほど前から行方不明になっている。カナダ人の女性と交際してから行方不明になってしまったんだ。
警察にも、捜索願も沢山やったけど、一切、一つの情報も上がってこなかった。今も誰も何もわからないんだ。
爺さん婆さんは溺愛していたからとても悲しんでいたと親父は言っていた。
俺が小さい時に、最後の1人の爺さん死んだ時、親方がこう言ってた。
『バカ兄貴はこんなにお世話にっなったのに、俺が全部最後見届けてんじゃねーか!!本当はバカ兄貴が喪主やるはずだろ!!今更顔出してきたら俺が殺してやるわ!!』
って親父がキレてて、その時に俺も あっ、親父にお兄さんていたんだ。って知った。
みんなが寝静まったあと、寝ぼけながらトイレに行く途中に、爺さんの棺桶の前で親父が、『ごめんな』って謝りながら泣いていた。
俺が親父が泣いたのを見たのは、32年でその1日だけだった。
親父は競馬が大好きで、毎週やっている。
けどもちろん負けてばかりだ。
昔から "勝馬”って言う競馬新聞を毎週買って楽しそうに予想している。20年ぐらいずっと勝馬勝ってる。
けど、毎回勝馬って言う競馬新聞買って予想して負けてる。
だから、
(競馬新聞勝馬じゃねーの買えよ!!どうせ負けんだから笑たまには違う"エイト”とかの予想参考にしろよ!!😂)
って言ったんだ。そしたら、
『俺の親父がずっと勝馬買って競馬予想してたんだ。だから俺も勝馬しか買わないって決めてる』
そう言われた。
初めて聞いた爺ちゃんの真似してるところがまさかの競馬新聞だった。
親父が死んだ勝馬棺桶に入れてやるんだ。
完