中学の時の話。



俺が中学の時は、硬式野球のクラブチームに入ってたから、中学の部活は入ってなかった。

中学の部活入ってないのって、ヤンキーか、そう言うクラブチームにいる生徒しかいないんだよね。だから必然的に自分がヤンキーじゃなくても、ヤンキーと毎日遊んでた。



その中に、田村、柴田、村上がいた。それと俺。



田村は典型なヤンキータイプ。自転車はカマチャリで、髪はリーゼント。授業中にタバコ吸ったり、運動神経も抜群。ボス的な存在感だった。けど優しくて自分から喧嘩したりはしなかった。売られた時だけ先輩だろうがボコボコにしてた。


柴田は、兄弟めっちゃ多くて、貧乏で、家庭が荒れてて、心臓に病気を持ってた。

小学校から一緒で、遠足とかの集合写真で一年生から六年生までチンコ出し続けた伝説もってる。



村上は爽やかなサッカー部。イケメンでモテてた。



思い出は沢山ある。

エロ本を山とか橋の下とか探しに行って、見つけたらみんなでそこで精子飛ばし大会したり、

先生の赤い車を白いボンドで真っ白にしたり、

みんなでスーパーのベーコンをパクって謎に大量にベーコン食べたり、女子トイレの生理ナプキンを顔に貼ったり、馬鹿らしいことは沢山した。



けど、1番思い出に残ってるのは田村の家で集まってその時はMDだったかなー

ドラゴンアッシュの『陽はまたのぼりくりかえす』をみんなで毎日タバコ吸いながら聴いて、大合唱してたことかな。


当時、エミネムとかスヌープとかヒップホップがめちゃくちゃ流行ってたけど、何故か俺らはドラゴンアッシュとかめっちゃ若いRIZEをスカパーとかで録画して盛り上がってた。

学校で知ってるやつなんてほとんどいなかった。

帰宅部の特権の様な、笑



思春期で、中3。田村はよくこんな話をしてた。



田村『俺高校いかないで職人なるからさー。いいよな〜みんなは。』



柴田『俺も高校行きたかったけど、貧乏だから働くわ〜。』



俺は野球で進学。

村上はサッカーで進学が決まっていた。



柴田『俺は20まで生きられないって言うから、バンドやりてえんだよなー』

 


みんな、柴田が20まで生きれないって事は聞いていた。

けど、リアルじゃなくて、だっていつも元気だし、毎年チンコだしてたし。

中学の俺たちは全然その言葉に実感がなかった


将来の話もする時も、柴田だけは

『俺だけ将来ねーから!笑』



って自虐してた。俺たちも笑ってた。


そんなこんなで、中学の青春時代を過ごし終わった。


高校一年の時、野球部の休みの日にバッティングセンターに行ったら、田村と柴田に久々会った。

めちゃくちゃテンション上がったけど、2人は既に全身にタトゥーが入ってた。



田村『翔くん!俺らバンド組んだから今度見にきてよ!野球辞めて!』



田中『一応甲子園目指してるから!笑』



すげー嬉しかった。2人がバンドを組んでて。

けど、その時初めて、柴田は本当にいなくなるのかって思った。

田村が柴田のためにバンドを組んだ様な気がしてて。



高校時代、キャプテンになった俺は遊ぶ暇がなかった。田村達のことも少し忘れかけてた。



野球部3年の夏が終わって、田村に連絡した。ライブに行くよと。



もう俺が3年野球に夢中になってる間に、すげーカッコいいバンドになってた。

田村と柴田じゃない様だった。


その時のSEも『陽はまたのぼりくりかえす』だった。


2人はバンドで食ってきたいって言ってた。



大学に進み、成人式の前に田村からメールが来た。


『柴田が事故で死んだ。』



田村が泣いてるのはその時が初めてだった。



原因は心肺停止からの事故らしい。



本当に20までに柴田は死んだ。



成人式、田村と村上と俺で陽はまたのぼり繰り返すを歌った。



そんな青春時代だった。