ある晴れた日の夜。
この町で一番大きくて、
歴史もあるといわれる『鬼封神社』(きほうじんじゃ)を
佐野輝乃はひとりでほてほてと歩いていた。
時間は10時過ぎ。
子供がふらふらするには危険な時間だ。
しかし、これには事情があった。
今日は年に一回の大行事、鬼封祭りなのだ。
この祭りは、昔危険だと封じられた鬼の封印が解けないよう、
神主総出で封印のかけ直しをするという、
なんだか現実味のない祭りなのだ。
その祭りと彼女に一体なんの関係があるのか。
それは、この祭りに乗じて屋台が沢山でることに関係する。
彼女は友達と一緒にその屋台を見に来ていたのだった。
しかし、実は彼女は超絶方向音痴。
あっちへふらふらこっちへふらふら。
なかなか目的地にたどり着けない上に迷子になる。
こうなるともう、誰かに救出してもらわなければ
家にもたどり着けないのだ。
つまり、今、彼女はその友達とはぐれて迷子になっているのだった。
「ひかちゃーん、しおちゃーん?
どこに行ってしまわれたのですかー?」
しかも自分には迷子になったという自覚がない。
これじゃあもう救いようがない。
彼女は気が付くと祠の前に立っていた。
とても古ぼけていて、
こけなんかも生えてしまっている。
彼女はその祠をじーっっと見つめた。
「あのー、誰かいらっしゃいませんか?」
いきなり祠に向かって話しかけた。
もちろんそんな所に誰かいるわけがない。
かと、思いきや中から小さく声が返ってきた。
「・・・いる、けど・・・なに・・・?」
声は男の子のものだった。
とりあえず、はぐれた友達ではないなぁ
なんて思いながら、
彼女は何も不思議に思わずに話を続けた。
「あのですね、お友達とはぐれたのです。
見かけたりしませんでしたか?」
「見てない・・・。」
「そう、ですか・・・。どこにいっちゃったんだろう?」
彼女が踵を返そうとすると祠から声が返ってきた。
「見ては、ないけど・・・どこにいるかは、わかる・・・。」
「ほへ?!本当なのですか?
でしたら是非、教えてほしいのですがっ・・・」
「そのかわり、ここ、開けて・・・くれないかな・・・
なかなか・・・開かないんだ・・・」
「はい!もちろんです!!」
彼女はその祠が何かも知らずに
扉をこじ開けた。
この祠は実は、あの鬼を封じたものだったのだが・・・
がしゃん・・・!!
2へ続く。