あのほがらか真理ちゃんのまわりにまきおこった おかしなおかしな噂。デビュー3年め(4年目)の沈黙を破って、はじめてその真相を話してくれたよ。いやなことが多いだけにメソメソするんじゃないかって心配したけど、明るくスカーッと答えてくれた。とにかくおっかしいんだから・・・

 

天地真理さんが、巷をかけめぐる数々の噂について、初めて真相を話してくれました。1974年7月末頃だと思われます。切り取り引用。

 

明星 1974年10月

 

 

ザ・ヌード

ーちょっと前になるけど、週刊PB誌が真理ちゃんのそっくりヌードをのせたよね。

 

「しょうがないんじゃないかしら。あれはパロディーなんだし・・・・。

あれが出た時、マネージャーなんかが、一生けんめい私にかくして、本も見せないようにしてるの。そんなに気にしなくてもいいのにね。

それと、おかしいのは、どういうつもりかPB誌から私の感想がほしいっていってきたのよ。もちろん放っておいたわよ。だからあの写真で私が感想をいうのは今日がはじめてなのよ。

 

 

ザ・スゥイム・スーツ

ー真理ちゃんはどうして水着姿にならないの?一説によると背中にアザがあるんで、着たくても着れないんだなっていう

 

「アザならまだしも、ひどいうわさになるとイレズミしてるんだろうなんて言う人がいるらしいのよ。

これまでに、テレビで私が水着になるって予告しながら、ならなかったことが2~3度あったのよ。それで〝天地真理はウソつきだ〟とか〝サギだ〟とか新聞なんかでメチャクチャ。でも私自身はテレビで水着になるなんて言ったこといちどだってないのよ。

この6月にハワイへ行ったとき、スタッフは正面きっては、水着になってくれとは言わないの。そのかわり、私がちょっと散歩でもしようと思って外出すると、

 

 

ザ・シガレット

ー劇場やテレビの楽屋で、真理ちゃんがスリップ1枚であぐらかいて、タバコをすってるのを見たってすごーい噂が、流れてるの知ってる?

 

タバコについては次回に。

 

 

ザ・イジワル

ーやっぱり楽屋のことだけど、真理ちゃんはいつもツンツンしていて、歌手仲間に冷たいってザンコクな声があるけど、うそだよねえ。

 

「(表情をくもらせて)そんなつもりないんだけどなあ・・・・。私って人見知りするタチなの。だから、あんまり知らない人とは話ができないし、楽屋なんかでもついひとりでむっつりしてるもんだからアイソが悪いとか、冷たいとか誤解されちゃうのねえ。つらいなあ。

 

 

ザ・ラブストーリー

ーあるミニ雑誌の投書に、沢田研二くんの部屋にクリーニング屋が洗濯物届に行ったら、そこにタオル1枚からだに巻いた真理ちゃんがいたっていうのが出てたよ。沢田くんがあわてて口どめ料に5万円だしたっていうんだけど、冗談がキツすぎるよねえ。

 

「それですごく腹立っちゃって、沢田さんにそのこと言っちゃったの。そしたら沢田さん、〝フーン、そう。でも、しょうがないよね〟ですって。まるで気にしないって調子なのよ。しょうがないって言ったって、私、困っちゃってオタオタしてるのに・・・・。

マネージャーに教えてもらったけど、あの人のいる中野のアパートは、ガードマンがすごくやかましくて、たとえクリーニング屋さんでも、

それから沢田さんのところは、毎日朝から晩までファンの人たちがぴったりマークしていて、沢田さんが何時に出かけていつ帰ったかまで、すぐわかるんですって。そこへ私が行ったら、たちまち発見されて大騒ぎになっちゃうよねえ。

沢田さんのほかに、最近では横綱の輪島さんとの噂を書かれちゃった。

 

 

ザ・ファミリー

ー真理ちゃんは、お父さんの話をするとすぐにだまってしまうので、〝真理ちゃんってファザー・コンプレックスを持ってるんじゃないか〟って評判だよ?

 

「(キッとした顔で)はっきり言うけど、私はいまでもお父さんはいないものだと心に決めているの。

そういう、いちばんお母さんが苦しんでるときに、その人は私たちから去っていってしまったの。

私はその行為をぜったい許せないの。人と人が別れるときには、それなりの常識的な別れかたがあるんじゃないかしら。私にはお父さんはいません。私にはお母さんとふたりの暮らしがすべてなのです。

 

これまで自分からあまり触れることのなかった事柄について、今回詳しく(切り取り引用)話してくれたわけですが、以前は、あまり好ましくない噂を流されたり書かれたりしても、メディアや世間はそれ以上に大量のシンデレラストーリーを勝手に積み重ねていってくれていたので、ネガティブなネタは放っておけばよかった。

 

しかし、時代は変わってしまって、放っておくと悪質な噂ばかりが積み重なってしまい、自分から情報を発信、修正していかなければならなくなってきた。

 

本人もマネジメントする側も、当初は意図していなかった〝白雪姫〟というキャラクターが瞬く間にでき上がり、想定以上に、必要以上に、好ましい方向へとキャラクターができ上っていったのだが、逆もまた然りであって、今度は想定外に逆の方向へと引っぱられていくのである。

 

分岐点となったのはいつなのか、理由もあったのだろうし、時代の移り変わりということでもあるのだろうが、それは今回は置いておくとして、同じようにやっているはずなのに、どうしてこうなるのかと戸惑う1974年夏の真理ちゃんでした。

 

 

 

 

おわり。