魚河岸パトカー出動事件。
天地真理の不思議な後遺症!
1974年3月12日に起こった築地の暴動事件の記事を切り取り引用。
週刊明星 1974年4月7日。
たまたま3月25日から1週間東京では最初のワンマンショーを浅草国際劇場でひらく話がまとまったとき、ショーの中でやる芝居の役が〝魚屋の娘〟と聞かされて、真理は大喜び。
ぜひ仕事の合間に時間を作って、魚河岸へ実地勉強に行こうとファイトを燃やした。念願かなって12日、真理は朝10時ごろからそっとおしのびで、築地の魚市場へ出かけた。(中略)渡辺プロのバスから降りた真理が、物めずらしそうに市場へ足を踏み入れると、
元気よく、おろし問屋の一軒に入った。ここでハッピにエプロン、ゴム長靴をはいて、〝魚屋の娘〟になろうというわけだ。
「店先を借りて長靴をはこうとしたら、急にほうぼうから人が集まってきたの。ほんの、あっという間だったわ。(中略)お店の前に黒山の人だかりができちゃって、うしろから押すな押すなの大騒ぎ。とっさに〝コワイ!〟と感じたら、もう胸がドキドキして止まらないのよ!」
「見えないぞ!前の方しゃがめよ!」「押すなったら!」「やめろやめろ、危ねえぞ!」「真理ちゃん、顔見せてくれよ!」
そのうち、人波のうしろから魚の冷蔵用の氷片がボーン!と飛んでくる。(中略)ゴーッとゆれ動く群衆は、およそ200~300人。
「恐ろしくなって、お店の奥へ逃げこんだけど、(中略)しまいにはバラックのお店ごとぐらぐらゆさぶられて、今にもこわれそうになったの!」
真理をかくまったおろし屋の従業員と群衆の間にケンカがおっぱじまり、魚をぶん投げる、氷を投げ返す、どうにも手がつけられなくなった。
真理についていたナベプロの社員も緊急事態と見て、バスを店へ近づけ脱出をはかろうとしたが、今度はそのバスが群衆の力で引っくり返されそうになり
とうとう卸屋の電話で、110番へ急報。数分後には築地署員4,5人の乗ったパトロールカーが現場へ急行した。これで群衆はさらにエキサイト、(中略)でっかいマグロやカツオをひっかける手鉤を持った若い衆が、「おまわり引っ込め!」「さっさと帰れ!」とばかり、よけいに殺気立つ。真理の付人はさらに110番して、機動隊の出動を頼むという最悪の事態。
「こわくてこわくて、今にも洋服を前部脱がされて、どうにかされちゃうじゃないかと、生きた空もなかったの!」
2台目のパトカーが飛んできて、ゆさぶられるバラックの横っ腹、役10メートルのところまで接近した。
群衆の内輪もめがはじまったスキを逃さず、バラックの横についた窓をあけ、脱出を試みた。
前列のお兄さん方が必死に脱出口をつくり、真理は警官や付人に抱きかかえられるようにして、命からがらパトカーへ転げ込んだ。真理は丸めた上半身にコートをかぶっていたが、
「車に乗ってからも、ドンドン窓ガラスを叩かれ、道をふさがれて、どうなることかと思ったわ。
最初は、(中略)気さくでいい人ばかりと思ったの。もちろん、1人ひとりはみんないい人だと信じてるけど、群集心理ってほんとにこわいですね。
うしろの人たちは私の顔が見えなくて、騒ぎがあんなに大きくなったんです。
あのときの恐怖感は、なかなか忘れられないでしょうね。国際のショーに賭けた私の意欲が、ウラ目に出ちゃったんです」
いくら群集心理といっても、パトカーに攻撃するとは、まともな集団でないことは確かだが、酒を飲んでいたのだろう。警官を見てエキサイトするのは、アウトロー心理でも犯罪者心理でもなく、酔っ払い心理である。
そもそも、築地などに何をしにいったのか。役つくりのため、実地勉強とあるが、忙しい最中に、そんなことのために大勢でバスに乗って(何人で行ったのかはわからない。ワンボックスカーのことかもしれない)行ったとは思えないですね。舞台の演出家が一人で行けばいい話である。
週刊女性 1999年6月15日の記事から引用。
「20年以上前ね、魚市場でテレビのロケをしたの。最初は市場の男の人たちも(以下略)
ダカーポ 2004年4月21日より引用。
「今でもはっきり覚えているのは『アタック!真理ちゃん』という私の番組を築地でロケした時のこと。最初は静かに取り囲んで見ていたファンが次第にエキサイトして(以下略)
『アタック真理ちゃん!』のロケだといってますね。築地の事件が3月12日、「アタック真理ちゃん!」第一回目の放送が4月4日なので、日程としては番組のロケであってもおかしくはないですね。
『アタック真理ちゃん!』は、ほぼ毎回、蒲田・日本電子工学院ホールより公開録画放送されていたのだが、第一回目の録画は築地の予定であったのか。そんな感じはしないが、番組を第1話からチェックしてみると、第1話だけ『蒲田・日本電子工学院ホールより』という会場の記載がない。それでも、第1話も同じ会場のようだし、予定が狂って変更したとは思えない。事件当時の『週刊明星』の記事をみる限り、テレビ番組のロケという様子ではないですね。
テレビのロケではなく、雑誌の取材か、〝渡辺プロのバスから降りた真理は〟とあるので、渡辺プロの機関紙『ヤング』の撮影だったのかもしれない。
しかし、テレビにしろ雑誌にしろ、事実を隠す必要があったとも思えないので、本当に実地勉強に行っただけなのかもしれない。ようするに、よくわからないということですね。
おわり。