小柳ルミ子、マネージャーに殴られる 2

 

前回の続きです。

 

 

 


和久井保氏は、早大卒で、渡辺プロ大卒公募第1期生であったということです。

渡辺晋社長(早大中退)は、ヤクザな世界であった芸能興行のあり方を改革をして功のあった人なのですが、芸能プロは大卒インテリの就職するようなところではなかった時代に、渡辺プロは大卒者を、特に早大卒を積極的に採用したとのことです。

 

この記事にもありますが、和久井さんは、テレビ局の関係者に人気があり信頼関係を築いていたようです。時代はテレビへと変わっていく時期なのですが、大卒者を揃えた渡辺プロは、テレビ局の人間と相性がよかったのではないかと思います。テレビ局も早稲田が多かったのかもしれません。

 

ヤクザな興行の世界からテレビの時代へ。ヤクザからインテリへ。芸能事務所において、そんな時代の旗手であった和久井さんなのですが、

 

もろ強面で、会社員というより昔ながらの興行の世界の人という感じですね。空手が強くて、信義と義理人情を重んじるところがテレビ局の人に受けていたようです。

 

いくら時代が変わってきたと言っても、所詮は芸能事務所であり、現場のマネージャーには、体力も押しの強さも必要ですね。

 

天地真理さんのマネージャーで、早稲田応援部出身の菊池哲榮さんもそうですが、イケイケでタレントや芸能関係者に睨みが効いて、高学歴揃いのマスコミ広告関係者、スポンサーになってくれる大企業の担当者とも話ができる。そんな人であったのでしょうか。

和久井さんや菊池さんのような人材がいたから渡辺プロが巨大プロダクションへと成長していけたのではないかと思います。

 

当時35歳の和久井さんは、制作部プロデューサーであったわけですが、これは部長のすぐ下のポジションなのか、各マネージャーを統括する立場であったのか何なのかわかりませんが、肩書からして一人のタレントを担当するような立場であったとも思えないのですが。

有力な新人は和久井さんが担当するということになっていたのかもしれません。

 

この週刊明星のルミ子のコメントによると、和久井さんは現場について回っていたようですが、それこそ若手の仕事ではないのかと思うのですが、他所の男性タレントを近づけさせないように、五木と仲良くしないように、自ら見張っていたのですかね。

 

何もそこまでしなくてもいいのではないか。ルミちゃんは確かな実力のある歌手なので、多少の恋愛沙汰もスキャンダルも問題ないのではないか。現にそうやって何十年もやってこれたのであり、あんなにうるさく言うのは、やっぱりルミ子に惚れていたからではないのか。そんなふうにも思ってしまうのですが、

 

和久井さんとルミ子の関係がこじれた72年1月から3月頃のことを考えてみると、

その時期は、天地真理の人気が凄いことになってきていて、会社中が天地真理のプロモーションでお祭り騒ぎであり、金も人も全部そちらにとられてしまうそんな焦りが和久井さんにあったのかもしれません。

 

和久井さんが退社して4月に「瀬戸の花嫁」が大ヒットしてわからなくなってしまっていますが、このままだとルミ子は埋もれてしまう。今は大事な時であり、男に夢中になっている時ではない。そんな時期であったのかなと思うのです。

 

年頃の娘が恋をするのは自然なことなのですが、全社を挙げて売り出して、有名になりました。有名人の恋人ができました。そんなこと言われても、会社はお前が恋人を作るために売り出したんじゃないぞと、そうなりますよね。

 

しかし、タレントに暴力をふるってそれが広まってしまっては、処分されるのも仕方のないことで、和久井氏の仕事ぶりが、大きくなった組織と相入れなくなってきた面もあるらしい・・・とあります。

 

制作から外され総務預かりということですが、もうタレントのマネジメントはさせないということであり、退職しろということですね。

 

というわけで、小柳ルミ子と和久井マネージャーについての記事を見てきましたが、小柳と五木の恋の行方と、渡辺プロを辞めた和久井氏のその後についての記事は、また今度掲載します。

 

平凡 73年9月号