テレビで「サーチ」という映画をやっていたので録画して見ました。

 大事な一人娘が行方不明になり父親がパソコンを使って自力で探す映画です。

 ちなみに監督さんが最初から最後まで”パソコン画面縛りプレイ”をしております。

 昔「フォーンブース」という電話ボックス縛りプレイ映画がありましたがそんな面白いと言えば面白い無意味と言えば無意味な縛りプレイ映画でございます。

 その作り手の謎のこだわりとか苦労が見えて主人公への感情移入が削がれてしまいまして、何も100%パソコン画面にしなくても”ほとんど”がパソコン画面の中で繰り広げられるってだけで良かったのでは?と思ってしまいました。

 せっかく良くできた脚本だったので個人的には縛りプレイを捨てて観客を没入させるカメラワークとストーリーに徹した方が良かった気がします。

 

 ここから先はネタバレ有りなので未見の方は読まないでください。

 

 

 例えば有能な女性刑事が息子の募金の話をしたときにパソコン縛りがなければもっと父親とぶつかり合って恋愛感情も生まれたかもしれません。(最初は息子の話を誤魔化す為だったのがいつしか本気になってもイイし、最後まで偽りの愛でもどちらでも良いと思います。)

 主人公に対するミスリードが主人公の為を思っての発言であると思わせることで今度は観客に対するミスリードとなり、ほぼ活躍の場の無かった女性刑事の息子と主人公との色んな意味でギクシャクした関係も面白く描けたのではないでしょうか。

 我々漫画家もあまりにも良いオチを思いついてしまうとどうしてもストーリーの大半をオチに従属させてしまって”ただの段取りストーリー”にしてしまうことが多々あります。

 そういう場合オチを一旦忘れて、その良いオチ無しでストーリーを面白く再構築しなければなりません。

 そうすることでオチがさらに生きて来るのです。

 この映画も第二第三のラストのどんでん返しを一旦忘れて第一のラストで感動させることに注力できていたら…第一のラストまでは徹底的に女性刑事を美人で有能で信頼できるスーパーヒロインとして描き切ってからのあのオチだったらシックスセンスに並ぶ若しくは超える作品になっていたかもしれません。

 それくらい凄い良いオチのストーリーです。