職場から逃げ帰って数日、私はかかりつけの心療内科で主治医と治療方針について話しをしていた。

早退してしまった日から仕事に行く事が出来ず、自分が限界なんだという事を痛感していたからだ。

それまでは眠剤だけ服用し、抗うつ剤も休職も断って来た私だが、ここに来て休職も致し方なしと覚悟を決めたのだ。

話し合いの結果は、1ヶ月の休職と抗うつ剤の服用開始。

すでに限界に達した私が、これを拒否する事は出来ない。

ただ、職場を休む手続きとして 診断書が必要になる。そこには必ず病名が必要だ。

診断書に『うつ病』と書かれる事が嫌だった私は、これを頑なに拒んだ。

当時はまだ自分がうつ病患者なのだと受け入れる事が出来ない状況だったのだ。

自分に向けられる偏見の目も怖かったし、うつ病患者がいるという事実が 家族に及ぼす影響も怖かった。

とにかく 周囲にうつ病と思われる事は、絶対に避けたかった。

その意を汲んで、先生が書いてくださった診断名は「適応障害」

適応障害もなんだか嫌な感じだなと思ったものの、診断書にうつ病と書かれなかった事は、私にとって救いになった。

そのくらい、うつ病に偏見があった。

そして この心理的な抵抗は、治療を始めてからも続く事になる。その期間、実に半年。

偶然か必然か、それは私が「やっぱり私はうつ病なんだ」と納得するまでにかかった時間でもある。

そう、自分のうつ病と向き合えるようになるまで、ずっと病状は良くならなかったのだ。