「廃止してくれないか」と市がJRに提案する路線に乗ってみた ガッツリ朝ラッシュ なのにナゼ?

2024.06.11

 

安藤昌季(乗りものライター)


JR西日本の兵庫駅から1駅だけ運行されている和田岬線は、通勤輸送に特化した路線です。休日は1日2往復しか走らないながら黒字ですが、存廃問題も持ち上がっているとか。どのような路線なのでしょうか。


JR山陽本線(神戸線)の支線である和田岬線は、兵庫駅(神戸市兵庫区)から和田岬駅(同)までわずか1駅、2.7kmの路線です。沿線の工場への通勤輸送に特化した運行形態で、平日は17往復、土曜日は12往復、休日は2往復と、極端なダイヤが特徴です。

 本数が多い平日にしても、和田岬駅発を基準にすると、午前7時台は1時間に3本ありながら、9時25分から16時49分までは列車がありません。休日に至っては午前7時29分発、17時26分発の2本だけです。そうした運行形態ですが、実は営業係数(100円稼ぐのにかかる費用を表す数値)は推定80台ともいわれる黒字路線でもあります。

 どんな路線なのか、2024年5月に乗車してみました。


起点である兵庫駅は、現在の山陽本線の前身である山陽鉄道で最初に開業した駅のひとつで、まだ神戸駅すらなかった1888(明治21)年に開業しました。駅舎は鉄道省時代の1930(昭和5)年に建てられたもので、レトロモダンな建築物です。和田岬線も同時に開業していますので、136年もの歴史があります。

 和田岬線は1990(平成2)年まで旧型客車が運行されていたり、2001(平成13)年まで気動車が運行されていたり、電化後も2023年まで国鉄型103系電車が運行されていたりと、鉄道ファンの話題に事欠かない路線でもありました。

 ホームがある駅は通常、「○番線」という案内がされるものですが、和田岬線には番線案内はなく、兵庫駅の中2階に「和田岬線のりば」という案内があるのみ。ちなみにエレベーターはあります。