池上季実子、2年前に新型コロナで死の淵さまよったことを告白 そこで思ったこと

2024/05/29 05:00(日刊スポーツ)


芸能界デビューから半世紀。女優池上季実子(65)が再び芝居に恋をしている。

22年に新型コロナウイルスに感染。生死の境をさまよい「もう少しお芝居やっとけば良かったな」と感じた。思いも新たに撮影に臨んだ映画「風の奏の君へ」が6月7日に全国公開される。杉野遥亮とflumpool山村隆太演じる兄弟の祖母初枝にふんし、作品に込めた思いを語った。

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もともと、同作は20年5月に撮影予定だった。そこへ新型コロナウイルスが襲った。多くの作品同様、延期に追い込まれた。追い打ちをかけるように、自身も22年、新型コロナに感染。血中酸素は76まで低下し、すぐに集中治療室(ICU)へ。医師からは「今日が峠です」と2回言われた。

「『あ、死ぬんだ。そうなんだ』って。そんな自分にビックリした。誰に会いたいとか何が食べたいとかも何もなかった。生きることに変な執着がなかったのは良かったんだけど、1つだけ思ったのが『もうちょっとだけ舞台とかお芝居やりたかったな』って」

そんなとき、改めて撮影が決まった。退院の目標ができた。「生かされたと思った。神様が『これあげるから元気になれよ』って言ってくれてる気がした」。

リハビリに励み退院。ダメージを受けた肺を考慮し、酸素ボンベを持って現場入り。髪をまっ白に染め役作りし、岡山・美作市で茶畑を守る高齢女性を演じ切った。「やっぱり楽しい」。同年12月には舞台「25Magic」にも出演した。

「本当に幸せ。14歳で芝居に恋した。夢中でやってきて、どこかで愛に変わったんだけど気付いてなかった。それを、コロナを機に実感させてもらったかな」

映画では「みんな好きに生きたらええがな」というセリフがあり「すごく実感がある。若い頃の同じセリフとは全然違う。より好きなことをしたいと思う」。

恋から愛への変化を実感した池上の熱演に注目してほしい。【阪口孝志】