嵐の再稼働はあるか? 「忖度」がなくなった旧ジャニーズタレント、2024年の動きを予測

All About NEWS 2023年12月27日 19時45分

2023年の芸能界を揺るがせた、旧ジャニーズ事務所(現・SMILE-UP.)による性加害問題。創業者の故・ジャニー喜多川氏による、芸能史に残る大スキャンダルが露呈した形で、テレビ業界なども巻き込んで大騒動に発展しました。

結果、旧ジャニーズ事務所は、『NHK紅白歌合戦』に1979年以来44年ぶりとなる不出場が決定。マネジメントは新たに立ち上げた「STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)」が行い、多くのタレントは自由に動きやすいエージェント契約に移行すると言われています。

また、問題が勃発して以降は、岡田准一さん、二宮和也さん、生田斗真さん、風間俊介さんなど、主に俳優業で活躍するタレントが独立を発表。大きな変革期を迎えている旧ジャニーズ事務所とタレントについて、今年の出来ごとを振り返りながら、元テレビ局スタッフの筆者が2024年の動向を占ってみたいと思います。

■うわさレベルで囁かれていた性加害問題がついに明るみに
まず、ここまで騒動が大きくなった性加害問題を振り返ります。はじめに大きく報じられたのは、2023年3月に放送されたドキュメンタリー『Predator: The Secret Scandal of J-Pop』でした。


日本のメディアではなく、イギリスのBBCドキュメンタリーとして放送され、さらに4月には元ジャニーズJr.の被害者が顔出しで記者会見を行い勇気ある告発を実施。その後は、黙殺を続けてきた日本のメディアも報じざるをえなくなり、雪崩のように「うわさレベル」だった性加害問題がテレビや新聞で取り上げられます。

テレビ局で働いていた筆者の経験から話をすれば、ジャニー氏の性加害について、ジャニーズ事務所と仕事をしていないスタッフも多くが認知していたと思います。逆に知らなかったという人間がいるなら、芸能界に関わる者として不勉強だったと言わざるを得ない。というのも、1999年には『週刊文春』が報じ、多くのテレビ関係者が疑惑を知ったからです。

さて、そんな性加害問題は、2023年8月29日に調査報告書が公開され、さらに9月7日に記者会見を開き性加害について事務所が初めて認め謝罪を行いました。そこからは、光の速さでメディアはバッシングを行い、それまで大活躍していたタレントたちも露頭に迷うことになります。

現在は、「SMILE-UP.」が被害者の補償を行い、「STARTO ENTERTAINMENT」がタレントのマネージメントを担当。社長には、のん(元・能年玲奈)さんの復帰を手助けした福田淳さんが就任しました。

■タレントの「干され」は発生している? 性加害問題の影響は?
福田氏は、「STARTO ENTERTAINMENT」を2024年4月から全面稼働すると公表しています。その間に、タレントたちは会社から説明を受け、ほとんどがエージェント契約に移行すると思われます。

福田氏がいくつかのメディアに答えたインタビューによると、グループに所属してライブの予定があるタレントは、独立ではなくエージェント契約する形を取る「残留」の可能性が高そうです。

例えば、SixTONESは、初の4大ドームツアー『VVS(バイブス)』を、2024年2月〜4月にかけて開催すると発表しています。大規模なコンサートを行う上で、メンバーが脱退や独立することは考えづらく、1つの指標になるのではないかと考えます。

また、タレントたちの活躍は心配することが無さそうです。実際、2024年1月期のドラマに多数のタレントが出演。Snow Manからは、渡辺翔太さんが『先生さようなら』(日本テレビ系)、岩本照さんが『恋する警護24時』(テレビ朝日系)で単独初主演を担当。嵐の櫻井翔さんは、『XXX占拠』(日本テレビ系)で主演、King & Princeの永瀬廉さんは『厨房のありす』(日本テレビ系)に出演します。

さらに、なにわ男子の道枝駿佑さんは、『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日系)でゴールデン帯の連ドラ初主演を務めます。他にもタレントが出演するなど、これまでと変わらず……いやそれ以上に、旧ジャニーズのタレントがドラマで大活躍します。

これらのタレントは、ドラマの番宣も兼ねて年末年始に多くのバラエティ番組に出演するという情報も入っているので、正直言えば性加害問題の影響はほとんど無さそうです。

テレビのCMスポンサーが旧ジャニーズタレントとの契約を打ち切ったことで、番組に出演させられないといううわさが2023年10月頃に出ていました。ただ、各局の編成や上層部がどう判断したか分かりませんが、2024年以降も旧ジャニーズタレントは、これまで通りテレビに出演し活躍する土台ができているようです。

■嵐の再稼働は? タレントたちの動きを予測
さて、「STARTO ENTERTAINMENT」も4月から本格始動するということで、2024年、主要なグループはどうなっていくのでしょうか? 社長の福田氏は、自身の会社「スピーディ」では、アート事業などで革新的なプロジェクトを次々と実現。仕掛け人として知られ、「STARTO ENTERTAINMENT」でも、さまざまな取り組みを行うことが予想されます。福田氏の経歴を見れば、旧ジャニーズタレントは、これまで以上に多種多様な場面で活躍しそうです。

では、筆者が注目するいくつかのグループを、2023年12月末時点で分かっている情報を基に、どんな活動をしていくのか予想していきます。

■嵐
二宮さんは独立を選択しましたが、2024年はグループとしてデビュー25周年を迎えます。二宮さんも独立の際、嵐のメンバーであることは変わらず、活動再開したら「一緒にやっていく」と表明しています。それだけに、記念イヤーには何かしらの動きが予想されます。中でも注目すべきは、2020年のグループ活動休止から芸能活動を行っていない大野智さん。社長の福田氏が、どんな手腕で記念イヤーを演出するのか期待が寄せられます。

■関ジャニ∞
2024年にデビュー20周年を迎えることで、嵐同様に大規模な動きが予想されます。2024年1月24日には、シングル『アンスロポス』をリリース予定。アリーナ&ドーム公演の開催も発表しており、メンバーの個人仕事も含めさまざまな動きがありそうです。新会社が4月に本格始動する中で、中核になるグループとして何かサプライズがあるかもしれません。

■King&Prince
現在2人体制で活動するKing&Princeは、2023年12月31日に生配信の『King & Princeとおおみそか』を実施。また、2023年は2人で行った初の全国ツアー『King & Prince LIVE TOUR 2023 〜ピース〜』も大盛況だっただけに、新たな大規模会場でのコンサートが行われそうです。また、永瀬さんは『厨房のありす』に出演しますが、演技力の高い高橋海人さんの出演作も期待されます(※高は「はしごだか」)。

■Snow Man
2023年12月31日には、YouTube生配信『Snow Man Special Live〜みんなと楽しむ大晦日!〜』を配信。ダンスパフォーマンスに定評があるだけに、2024年はどんなツアーやコンサートを演出するのか楽しみです。また、メンバーは1月期からドラマに引っ張りだこ。中でも注目なのは、俳優として躍進する目黒蓮さんが、どんな作品に登場するかです。グループ躍進の鍵を握ることになりそうです。

■SixTONES
すでに、初の4大ドームツアー『VVS(バイブス)』が2024年2月から決定しているSixTONES。このツアーの中で、何か大きな発表もありそうな予感です。個人のメンバーもドラマや映画への出演が期待され、躍進の年になる可能性大です。

■なにわ男子
2023年はグループとしてさまざまな事がありましたが、来年の鍵を握るのは早々に放送される道枝さんの『マルス-ゼロの革命-』です。期待度も高い作品で、俳優としてステップアップする道枝さんに注目。さらに、2023年7月には中国のSNS「Weibo(微博)」で公式アカウントを開設しているだけに、新会社の後押しでアジア展開の兆しがあるかもしれません。

激動の2023年をくぐり抜け、新たな年を迎える旧ジャニーズ事務所のタレントたち。ファンが危惧したように、テレビから「干される」ことは無さそうですが、どんな活動を行うのかは不明です。ただ、1つ言えるのは、今回の性加害問題により、テレビ局の忖度(そんたく)はなくなり、年末の大型歌番組でも特別扱いされることはありませんでした。そんな中で、各メンバーがK−POPグループなど、レベルの高いアーティストと競い合う機会も多くなっています。

ある意味でこれまではテレビに過保護に扱われていたグループが、殻を破り更に飛躍する年になる可能性が大。2024年は、また新たな魅力を各タレントが見せ、ファンを喜ばせる年になってくれることを願います。

この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。