昨夜、鑑賞してきました。少しの感想を。

 

IMAXLaserで観たけど、音響がいい映画館ならIMAXは必要ないかも。さすがに爆発シーンはのけ反ってしまいそうなほど爆音で重く鋭く響いてきたけど、個人的にはDUNEほどの没入感は得られなかった。


キリアン・マーフィーの特異な青い瞳が印象に残りますね。ノーラン監督も「彼は稀有な目を持っている」と何かのインタビューで語っていた記憶が。腰に手をあてパイプをくわえるシルエットなど含めキリアンの浮彫が良かったかと。

 

ふたつ(3つ?)の時系列と視点で物語が進んでいく。『核分裂』と小タイトルがついた方が、オッペンハイマー視点。『核融合』となっている方が原子力委員長のストローズ視点。最初は慣れなかったけどカラーとモノクロを上手く使い分けているので、時系列として頭の中で整理しやすかった。

 

この映画、想像した以上にドラマチックな作りで非常に面白かったです(面白いという表現が正しいかどうかはおいといて)。原爆が投下されるまでの2時間はとくにあっという間。数式は楽譜のように美しいと、研究に没頭する科学者たちに魅せられます。アクアリウムとワイングラスにビー玉を入れていく。これがあの“ファットマン”と“リトルボーイ”かと想像すると恐ろしいけど、どこか美しい。

私のような文系人間は、理系の人は理知的でスマートで尊敬と憧れを抱いていますが、オッペンハイマーは理性を抑えきれない衝動性を持ち合わせた部分もあるように感じました。量子力学と情愛をかけて女性を口説いちゃうようなところは計算なのか天然なのか。(まあ天然でしょう)フローレンスピューの裸と座位はサービスか(笑)

 

日本では公開が遅れたように、アメリカ人とはどうしても同じ目線で観れず複雑な感情が駆け巡るのも事実。トリニティ計画が成功した時の喜びようは、背筋が凍る気さえした。でもここでオッペンハイマーの脳内で被爆者の惨状を見せる演出が効いていて、原爆の恐ろしさを味わうことになる。原爆が投下されたあとも、法廷劇のような緊迫した言葉の応酬が見事で、最後まで飽きさせない作りに、監督の並々ならぬ熱量を感じた。

 

丁寧に登場人物なども追っていきたいし、もう一度観たい気はするけど…やっぱり観ないかな…賛否両論あっていいと思う。