ひとつ前のブログで、「暦年贈与」、「相続時精算課税制度」、結局どっちを選べばいいの?を書きました。
今回は、実際にどれぐらいの税効果が出るのかをシミュレーションしていきます
このモデルケースは、贈与税・相続税を一番少なくなる方法のシミュレーションです
実際の贈与をする場合には、
家族間のもめごとの種を作らないこと
相続人の納税資金の確保等…
税金が少なくなることが一番いい相続対策ではないことを念頭に贈与の検討をすることを、お勧めします。
ケース①
贈与者 80歳
財産総額 1億円
相続人 子供3人、孫3人
基礎控除 3,000万円+600万円×3人=4,800万円
この場合、基礎控除を5,200万円超えており、高齢なので、早急に贈与しなければならない。
相続税額は630万円、実効税率は6.3%なので、300万円贈与した場合の実効税率と同じになる。300万円×6人=1,800万円を3年、その後7年長生きできると、基礎控除未満の財産額となり、相続税はかからない。その時、贈与者の年齢は90歳になる。どのようにするのが一番節税ができるのか?
例えば、孫については持ち戻しはないので、暦年課税制度で、3人へ300万円を4年かけて贈与し、相続人へは相続時精算課税制度を選択し110万円の非課税枠を使い4年間贈与する。4年間で4,920万円贈与でき、相続税がかからない財産総額に近づく。
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対策前 |
対策後 |
差額 |
相続税 |
6,300,000 |
0 |
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贈与税 |
0 |
2,280,000 |
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合計 |
6,300,000 |
2,280,000 |
-4,020,000 |
ケース②
贈与者 65歳
財産総額 1億円
相続人 子供3人、孫3人
基礎控除 3,000万円+600万円×3人=4,800万円
この場合、基礎控除を5,200万円超えているが、年齢が若いので、相続開始日まで時間がある。
孫へは毎年110万円ずつ8年贈与する。(3人×110万円×8年=2,640万円)
子には、孫同様、暦年課税制度でもよいが相続時精算課税も考えられる。ただし、子へ住宅等資金の非課税贈与をしたい場合には、その贈与が完了するまでは、暦年課税制度にする。
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対策前 |
対策後 |
差額 |
相続税 |
6,300,000 |
0 |
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贈与税 |
0 |
0 |
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合計 |
6,300,000 |
0 |
-6,300,000 |
ケース③
贈与者 70歳
財産総額 5,000万円
相続人 子供1人、孫1人
基礎控除 3,000万円+600万円×1人=3,600万円
この場合、基礎控除を1,400万円超えているが、財産をあげたい人が少ない。
Ø 対策その①
孫には暦年贈与で1年110万円を7年間贈与し、子には、相続時精算課税制度を適用し1年110万円を7年間贈与する。
結論:7年かかるが、相続税・贈与税はゼロになる。
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対策前 |
対策後 |
差額 |
相続税 |
1,600,000 |
0 |
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贈与税 |
0 |
0 |
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合計 |
1,600,000 |
0 |
-1,600,000 |
Ø 対策その②
相続税額は160万円、実効税率は3.2%なので、160万円贈与した場合の実効税率と同じになる。孫へは160万円を5年間贈与し、子には、相続時精算課税制度を適用し1年110万円を5間贈与する。
結論:5年かかり、贈与税は25万円かかる。
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対策前 |
対策後 |
差額 |
相続税 |
1,600,000 |
0 |
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贈与税 |
0 |
250,000 |
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合計 |
1,600,000 |
250,000 |
-1,350,000 |
この3つのケースからもわかるように、財産の総額、贈与者の年齢、相続人、孫の人数によっても対策できる方法、かかる時間が変わってきます
やはり、信頼できる税理士さんを見つけて一緒に検討した方がいいと思います
このブログの記事だけをもとに実際に贈与を実行した場合の不利益につきましては、責任を負いかねますので、ご注意ください