今回の入院でも、娘たちは私の実家でお世話になっている。


実家といっても自宅のすぐ近く。




実家では私が小学生の頃から犬を飼っていた。


そして、高校卒業間際に私がネコを拾ってきた。


そしてその翌年、母がネコを拾ってきた。



名前は順番に「ゲン」「サスケ」「ピーコ」である。




「ピーちゃんが、死んじゃったよ。」


ウキウキ気分で帰宅したであろう娘に電話をしたら予想外の言葉が飛び込んできた。


かけがえのない、大事な家族の一員がもういなくなってしまった。





   ゲンのはなし


ゲンは17年生きた。
白い大きな犬。

誰か知らない人が来ると必ず吠えた。
とても頼りになる番犬だった。

私が毎日夕方に散歩をさせた。

ゲンの力はとても強く、まるで私が散歩をさせられてるようだった。

私が10才の頃から27歳になるまでそれは続いた。



ある日、職場に電話が入った。母からである。
ゲンの顔から血が出ている。口の中を見ようとしても怒って嫌がる、と。


老犬になり、ドッグフードも噛めなくなっていた為お湯で柔らかくして与えていた。

食欲はとてもあった。



自宅へ戻り、慌てて動物病院へ。

大きな体を女二人で持ち上げ、車に乗せて連れて行った。



すぐよくなるからね、、、




口の中を診る為に麻酔を注射され、目を閉じていくゲンの表情を今でも覚えている。


不安そうな顔で私を見ていた。




すぐによくなるよ、、、
帰ってごはん食べようね。









腫瘍です。

顔にまで広がってきているので手術は不可能です。

相当痛いはずです。放置しておくとどんどん腐っていくので可哀想です。

このまま安楽死させてあげるのがこの子にとって一番いい事です。





そう言われ、ただ泣く事しかできなかった。





心拍を止める薬を投与した。



いつまでもいつまでもゲンの心臓は動いていた。


とても強い心臓を持ってるよ、と先生は言った。


でも、数分後、ゲンの心臓は止まってしまった。




毎日散歩に連れて行ってたのに!!

どうして気付いてあげれなかったのだろう。


ごめんね、ごめんね。




悲しみはしばらく続いた。