
愛川晶さんの作品です。
いくつかシリーズがあって、パッと見でこの作品に決めましたw
愛川さんの作品は根津愛という女子高生探偵がメインらしいのですが、私が読んだこの本だとサブキャラ(もちろんメインに近いですが)的な位置にいました。
主人公は大隈敦巳、13歳。年齢の割に169cmと長身です。
この敦巳を中心として物語はスタートします。
確か目次はなかった気がしますが、どうだったかな。
キャラクターそれぞれの目線で話が動いていきます。
例えば、桐野義太という刑事が出てきますが、1(桐野義太)のように、誰目線での話かが分かるようになっていて、()がない場合が主人公の敦巳という進め方です。
敦巳は白いうさぎを飼っていて、友達のいない敦巳はそのうさぎを親友と呼んでいます。名前はナオ。
敦巳は両親も亡くしていて、元刑事である祖父と2人暮らし。
母親、大隈真由美は強盗殺人事件の被害者で、祖父はその場に刑事としており、犯人を止むを得ず射殺したという過去がありました。
敦巳はその場になぜか自分もいた記憶があり、母親が亡くなった時の状態(状況ではなく)だけはよく覚えていました。ただ事件前後の記憶はなく、そのせいか性格はどちらかといえば暗めです。
根津愛も父親が元刑事(しかも敏腕)で、本人の洞察力も女子高生ながら、一目置かれる存在です。
美少女探偵と言われているとか。他のシリーズでは彼女が主人公みたいですね。
先にあげた桐野義太刑事は、彼が24歳、彼女が6歳の時に一目惚れしており、根津愛の言いなりですw 完全なロリコンですねww
ちなみに、敦巳は根津愛に片思いしていて、3歳差であることを気にしている描写が何度か出てきていますし、桐野義太刑事にも嫉妬しています。
物語の中盤、敦巳の祖父とも仲良しの愛が、敦巳の家に泊まりにきますが、その流れで驚くべき真実が明らかになりました。
敦巳が女の子だったということです
しかもスレンダーな美少女。愛がアイドル風な可愛い系美少女なら、敦巳はモデル風なクール系美少女。
だからかぁと思うところはたくさんありましたが、実際、全く気付きませんでした。
要するに同性愛者だったんですよね。
クラスメートの伊東文弥が、敦巳をいじめるシーンが何度か出てきますが、男と女じゃ話は変わりますもんね。男だと思って読んでたから、文弥嫌なヤツだなぁと思ってましたけど、女だと、そりゃ敦巳に片思いってなりますから。
物語が動き出すのは、愛が敦巳の家に泊まった明け方、うさぎのナオが足を切られて殺されていたこと。敦巳は怪しい人はいないかと、まず真っ先に伊東文弥を思い出します。
まぁ、この時点で、彼はシロだと分かりますがwそれくらい敦巳は彼を毛嫌いしていたので、ある意味可哀想だなぁと( ̄◇ ̄;)
あとは、中沢圭子という亡くなった敦巳の祖母の友達。
ちょくちょく家に来ていたが、特に不審に思ったりしたことはなかった。
ただ、愛が可能性として中沢圭子の名前を出した時によくよく彼女のことを思い出すと、知っているのが名前だけということに気づく。
祖母のいつの時の友人なのかも知らないし、年齢、住んでいる場所などよく知らない。
そこで思い出したのが、【強盗殺人事件の現場にたまたま居合わせ、敦巳のそばにいた】ということだった。偶然にしては出来すぎていると敦巳は考え出します。
この物語のおかしいなと思ったことが、ナオの立場からの目線の描写があることでした。最初は意味が分からず、うさぎのナオのことだと思っていました。ですが中盤、そのナオがうさぎのナオを殺したようなことを言っていて、余計意味不明に。このナオは、敦巳の祖父、大隈泰治に深い恨みを持っていて、殺そうと計画しています。
敦巳が大切に持っているうさぎの消しゴムがあるんですが、それを伊東文弥に捨てられた瞬間、ナオが出てきます。(その時敦巳は失神中)→敦巳は黒い影と表現している
なので、後半まで、ずっとナオがうさぎなのか、消しゴムなのか、その他なのか分かりませんでしたね。ですが、人間として普通に動いてるんで、うさぎ、もしくは消しゴムの中に怨念みたいのがあって、実体として出てきてるんかなぁと、ファンタジーチックな展開だと思ってました。
敦巳は時たま、ドーム型の天井がある大聖堂のようなところにいたりして、それが決まって、寝ている時か、失神している時だったりするので、それもまたファンタジーかなぁと勝手に推測してましたね。
失神中に現れたナオは黒いシュッとした影でしたが、後に敦巳が夢遊病状態の時に現れた黒い影は肥満体でした。しかものっぺらぼう。そこでまた敦巳は失神します。
そして、気づくと布団の中にいました。
その後、学校で校長先生が殺される事件があり、敦巳は自分が夢遊病で学校に行っていた記憶があるので、自分が犯人かもと少し怯えていました。
ですが、愛にそれはないと言われて安心します。
後半、うさぎのナオと、人間のナオは別だと判明。
人間のナオは自分を沼崎直央だと名乗り、自分は強盗殺人事件の犯人で、大隈泰治から射殺されたため、恨みがあると言ってきます。
そしてここでこの本の衝撃的事実が発覚します。
大隈敦巳は多重人格者だったんです
うさぎを殺したのは、敦巳のもう1人の人格であるナオ。
黒い影の正体もナオでした。
ただ、肥満体の黒い影はナオではなく、校長先生でした。
ラバースーツというものを着ていたため、のっぺらぼうに見えたと。
しかも、殺されたわけではなく、敦巳が恐怖のあまり、空気が入るところを閉じてしまったための事故というオチでした。
そして、疑っていた中沢圭子は、沼崎直央の母親で、何と、彼女こそ大隈泰治の命を狙っていたんです。
そして、自分を沼崎直央だというナオも、沼崎直央ではないことも発覚。
多重人格者というのは、何か大きな精神的ダメージを受けた時になりやすく、ナオもその中で作られた存在だと。実際に、敦巳の母親は強盗殺人事件の被害者ではなく、自殺。
大隈泰治が殺したのは確かに沼崎直央ですが、母親の死とは何の関係もない事件だったんです。
なぜ敦巳がこの事件を自分の母親のものだと思ったかというと、祖父である大隈泰治が、目の前で自殺した母親を見たショック状態の敦巳に、信じ込ませたからです。
一緒に死のうと言った母親に、敦巳は「1人で死ねばいいじゃん!」と言ってしまったから。
これらを全て解き明かしたのが根津愛でした。
彼女は泊まった日から敦巳には別人格があると疑っていて、朝になって亡骸になったうさぎのナオを見た瞬間、確信しました。敦巳のパジャマに明らかに不自然な血が付いているにも関わらず、敦巳本人は、心からナオの死を悲しんで、ナオを殺した犯人を恨んでいたからです。
愛は16歳なのに、ユーモアがあり機転がきいて、その上洞察力と推理力は抜群でした。
彼女は別人格であるナオにも優しく接しています。それに最後まで敦巳を責めず、多重人格者であることも伝えていません。
なので敦巳本人はうさぎのナオの死はわからないままです。
愛は敦巳の人格もまた、別人格で、本体は11歳(2年前の母親の自殺の時)で止まっていて、未だに眠っていると言っています。
本体は起こさなくてもいいという結論に達したようです。
多重人格者になるほどのショックな記憶を、また呼び起こしてしまうと、敦巳がどうなるか分からない。それを心配しての発言でした。
この物語は全然ファンタジーじゃなくて、ある意味現実感があって、面白かった。
多重人格者は現実に山ほどいるわけだし、それを題材にするところがうまいなぁと思ってしまった。
他のシリーズも一応すこーし読んだけど、少しずつ被ってたから(登場人物の紹介や生い立ちなど)、この1冊でいいかなと。