その日は

私が通販で購入した

美輪明宏さんのCDが

届いた日でした



夕方に

ポストに投函された音がしたので

すぐに取り行き

早速CDを聴いていると

娘が仕事から帰ってきました




我が家には

8年程生きている文鳥のボーちゃんがいます


若い頃は本当にやんちゃで

放鳥すると部屋中を飛び回り

1時間はかごに戻らなかったのに


ここ2年位は

すっかり大人しくなり

扉を開けていても

かごから出ません



それでも

よくエサを食べるし

よく鳴くし

元気でした


さすがに最近は

足の力が弱っている感じは

していました




そして

美輪さんの

CDが流れる中



突然

ボーちゃんが

今まで聞いたことのない声で

鳴き出しました


それは

何かを訴えるような

悲しみに溢れた声でした


慌てて娘と二人でボーちゃんの様子を見に行くと


かごの下に落ちたまま

弱々しくバタバタしていたのです



娘が

かごに手を入れて

ボーちゃんを拾い上げると

あっという間に

娘の手のひらの中で

目を閉じて息を引き取りました


その間

まるでドラマのように

美輪明宏さんの


「愛の讃歌」


が流れていて

ちょうどクライマックスの


『この愛があれば幸せ

 死んでもあの空で

 苦しみも何もなく

 とこしえに歌おう』



の瞬間でした


娘は

「ボーちゃん!ボーちゃん!」

と叫びながら

大粒の涙を流して泣きました




もともと娘の大学で飼っていたのを

卒業する時にもらってきて

我が家の家族になった文鳥でした


娘は本当に可愛がっていたので

きっとボーちゃんは

娘が帰って来るのを待っていたのだと思います



誰もいない時や

朝起きたら死んでいた

とかだったら

めちゃくちゃ嫌だったので



大好きな娘の手のひらの中で

愛の讃歌をBGMに旅立っていったボーちゃんは

幸せだったと思います