穂村弘さんの<人魚猛獣説 スターバックスと私>
(かまくら春秋社、2009年)を読んでいたら、朝のコーヒーに
ついての短歌が載っていました。その短歌は、<ぬばたまの
夜を飲み干し顔上げるこれが私の朝の始まり>というものです。
これは、東京都の女性の作品です。この本は、読者から、
スターバックスについての短歌を応募して、それを集めて、
穂村さんが、解説をつけて、まとめてあるものなので、この短歌も
朝、スターバックスでコーヒーを飲んだ時の気持ちを詠ったもの
です。この短歌についての穂村さんの解説を引用してみます。
”‘ぬばたま’は‘夜’ ‘黒’などにかかる枕詞。この‘夜’は
たぶんコーヒーのことでしょう。‘ぬばたまの夜’のような
コーヒーを飲み干すことによって、目覚めの気持ちを
切り替えようとしているのです。それは自分をすっぽり
包み込んでいた‘夜’を終わらせて、新しい‘朝’を始める
儀式でもあります。‘顔上げる’が美しい。もともとは
薬として広まったこの飲物の本質的な力を捉えた
秀作だと思います。さあ、私も起き上がってコーヒーを
飲みに行こう。”
確かに、朝、色の濃いコーヒーを飲むと、その苦味の効果も
あって、きりっとした気持ちになります。苦い味のコーヒーを
飲むと、’何かを始めよう‘という気持ちになり、1日の始まり
にふさわしい気がします。
この短歌は、スターバックスについてのものですが、
家で普通に朝コーヒーを飲む時の雰囲気もよく
表していると思います。
また、旅行した時には、ホテルで朝早く、コーヒーを飲んだり
しますが、そんな時の状況にもぴったりする短歌です。
朝、コーヒーを飲むといっても、家で飲んだり、スター
バックスで飲んだり、喫茶店で飲んだり、旅行先で
飲んだり、いろいろな状況があります。この短歌をよむと、
どんな場合にも共通する、朝のコーヒーの味わいが伝わって
くるようで、改めて、朝、コーヒーを飲む時間を大切に
したいと思いました。