「加奈子」

出会い系で使う名前は、
違う名前を使っている。

だから、出会い系で、会う人には、
違う名前で呼ばれている。

でも、この間、つい間違って、
「加奈子は……」って、言ってしまった。

しかも、あの最中に……、

ヤバイ。焦った。

でも、相手は気づいてない様子。

誤魔化すように、
うわ言のように、
「加奈子は……かなっあっー、いいよ。
すごくいい。そこ。
もっと……
あっー、もうダメ、
いきたい……」

まるで、無かったように、
書きけすように、
誤魔化した。

その人は、最中に、
加奈子に、
ひ◯いな言葉をしゃべらせるのが好き。

「濡れてるよ。何で?」
「この間、会ってから誰かとした?」
「ホントに?」
「嘘ついてもわかるよ」
「やらしい◯◯は、我慢できるわけないでしょ?」
「どこがいいの?ちゃんと言って」
「どうしてほしいの?何がほしいの?」
「ほら、もうこんなになってるよ。」

つい、気が緩むと、
また「加奈子は……」って、言ってしまいそう、

でも
何とか、ごまかせたと思う。


つい、出てしまった加奈子。
それだけ、「加奈子」という、
もう一人の存在が、
大きくなってるんだと思う。