だから普通に憧れた | 上尾 肩こり腰痛、冷え、むくみでお悩みの女性専門 整体リンパ療法サロンすみれ

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完全予約制、1対1のプライベートサロン

セラピスト歴14年、延3000人の女性を施術したリンパ療法師が
病院へ行くほどではないけれど、なんだか体調がスッキリしない
40代からの女性の不調を癒し、10年後も健康で若々しい体作りのお手伝いをしています





去年の夏だったかな

約束の時間まで間が出来たので

暇つぶしの為に

書店で一冊の本を買った



「ケーキの切れない非行少年達」



このタイトルにえらく惹かれた

それは多分


私が非行少年達の中で育ったからかも知れない






○○学園

教護院、現在の児童自立支援施設

父はここの職員で、寮長をしていた


寮舎に家族と共に住み

非行少年達を支援していた



私はある意味施設育ちなのだ




学園と言うだけあり施設内には

校舎があり、広いグラウンドがあり

体育館、プール、給食室、大浴場

寮舎は10棟位あったんだろうか?


お池があって、雑木林、竹林、畑、芝生広場

鉄棒、お砂場、運てい、ジャングルジム


楽しい遊び場はいっぱいで

幼い私は退屈する暇なんてなかった


私は毎日泥だらけだった






ちなみに私はプールが大好きで

夏になるとよく一人で泳ぎにって言うか

水遊びをしに行った


行けば誰かしら職員さんがいて

遊ばせてくれるんだけど


一度だけ、誰もいないプールで勝手に遊んだ事がある

小学一年生位の時だったと思うけど

足のつかない深いプールにたった一人


今考えると恐ろしい()




父と同じ寮長として働く職員は10人ほどいて、みんなうちと同じような家族構成だったと思う

だから同世代の友達もいっぱいいた



なんと言っても入所者の非行少年達


幼い私にとって

彼らに遊んでもらうのはなんとも刺激的で楽しかった


ビー玉とかベーゴマとか(昭和やな〜)

自在に操るおにいちゃん達がかっこ良かった






でも、楽しいことばかりでもない

なんと言っても更生施設

非行少年達は厳しいルールの下で生活している


そんな彼らの手前もあるのだろう

両親の私に対する躾はまぁまぁ厳しいものだった



玄関の掃き掃除やお台所の雑巾がけなど、私の仕事として与えられ

それが終わらなければ朝ごはんを食べさせてもらえない


テレビを見る時間や、見ても良い番組も決まっていた


「おはよう」から「おやすみ」まで

時間の縛りも厳しかった



ルールを破れば叱られる

いつも誰かが叱られている

私は叱られないよう必死だった



そしてそんな生活は

私にとって「当たり前」の事だった








小学校に入学して、私の世界は一気に広がった

最初の衝撃は、クラスメイトのほとんどがA幼稚園かB幼稚園出身で、初めからお友達がいたこと


保育所出身の私に、知ってる子は一人もいない

いきなりアウェイだった



それでも何人かの子と仲良くなり

放課後、お友達のお家に遊びに行くと言う、新しい文化が私の生活に入ってきた




お友達のお家は夢のようだった


リビングにはピアノやシャンデリアがあり

子ども部屋には勉強机にベッド

ステキなおもちゃもたくさん

おやつにクッキーやチョコレート





みんな、私には無いものを持っていた

毎日泥んこになって遊んでいた自分を恥ずかしと思うようになっていった




45人のお友達と遊んでた時、誰かが

「今度は加奈ちゃんちに行こうよ〜」と言った


みんなが家にくるなんて恥ずかしい

なんて言って断ろうと思っていたら



「お母さんが加奈ちゃんちには行っちゃダメって言ってる」

「うちのお母さんも」



助かったと思う反面、ショックだった


うちは、遊びに行っちゃいけないところなんだ



まぁ、今になってみれば当然と思う

非行少年達の更生施設に我が子を遊びに行かせたくないって思うのは、母親として自然な感覚だし、私だってそうするだろう



でも幼い私は

「うちは普通じゃない、私は普通じゃない」って

心に深く刻み込んだ







それ以来私は普通になりたくて

いや、普通じゃないことを知られたくなくて

一生懸命、自分の思う「普通」を演じてきた

自分の価値基準は「みんなと同じ」である事だった


みんなと同じ物が欲しくて

みんなと同じ物を好きになって

みんなと同じ事をして


自分がどう思うかなんて、考える事もなかった


それが苦しいとか辛いとか思った事はない

私はそこそこ幸せだと思ってた





だけど、ある人に言われちゃった


感じるのを止めたんだね

感じてたら辛すぎる人生だったんだねって



その人の導きで

幼い私を癒し、少しづつ本来の自分を取り戻してきている



今でも本当はどうしたいのか分からなくなる事があるけど、普通を探すのはやめた





そんな私は

人様の体を癒すセラピストと言うお仕事をしています


私は誰かを癒すことで

自分自身を癒しているのかも知れない





「ケーキの切れない非行少年達」




あの時の非行少年達は今頃どうしているんだろう



坊主頭のおにいちゃん達の笑顔と

泥んこまみれの小さな加奈ちゃんを思い出すと

胸がキュンと痛むのです