ゆったり流れる時間の中で見つけた取手市の魅力
最近、ふと思い立って茨城県の取手市へ出かけてきた。都内から電車で1時間もかからない距離なのに、駅を降りると空気が柔らかく感じる。川の匂いと風の流れが違うだけで、こんなにも気持ちが変わるのかと思うくらいだった。取手市って観光地のイメージが強いわけではないけれど、実際に歩いてみると、どこか懐かしい“日本らしさ”が残っている。特に印象に残ったのは、長禅寺というお寺。境内の中に「さざえ堂」と呼ばれる珍しい建物があって、ぐるぐると螺旋を描きながら上へ登っていく構造になっている。外から見るよりも中に入ったほうがワクワクして、まるで迷路のよう。子どものころの探検心がちょっとだけ蘇った気がした。お寺を出たあと、利根川沿いの道を歩いた。取手市の川辺はとにかく広くて、どこまでも見渡せる。河川敷に腰を下ろして、おにぎりを頬張りながら、のんびり流れる雲を眺めていた。何も特別なことをしなくても、こういう時間がいちばん贅沢なのかもしれない。食べ物の話をすると、取手市には地元食材を活かした小さなお店が多い。個人的に好きなのは、紅はるかを使ったスイートポテトや焼き菓子。地元で採れた芋の甘みが強くて、ほっくりした味わいがたまらない。それから、「やま忠」というお店のとんかつも評判通りのボリューム感。衣がサクッとしていて、中はジューシー。食後に地元の喫茶店でコーヒーを飲んでいると、もう動けなくなるくらい満足していた。アクティビティ的な楽しみもあって、なかでも面白かったのが「小堀の渡し」という渡し船。明治時代から続く利根川の渡し船で、今も現役で動いている。船頭さんと軽く話をしながら川を渡る時間は、まるで時が止まったよう。風を受けながら水面を進むだけなのに、気持ちがすっと軽くなる。サイクリング途中に立ち寄る人も多いらしく、自転車ごと乗せられるのも便利だ。そういえば最近、移動の手段について考えることが増えた。サイクリングが好きで自転車ばかり乗っていたけれど、昔から大切にしてきた二輪のほうは、最近あまり乗る機会がない。カバーをかけたまま置いておくのもなんだかもったいない気がして、どうしようかと思っていたところ、ネットで自動査定できるバイク買い取りサービスの存在を知った。わざわざ店舗に持っていかなくても、写真を送るだけで大体の金額を出してくれる。正直、手放すことには少し寂しさもあるけれど、次に大切にしてくれる人のもとへ行くと思えば気持ちも前向きになる。旅の帰り道、利根川の風を感じながらそんなことを考えていた。取手市のゆるやかな空気の中で、自分の暮らしや持ち物を見つめ直す。観光というより、心のメンテナンスに近い時間だったかもしれない。次に訪れるときには、また違う乗り物で、違う景色を探してみたいと思う。