目を覚ますと、仏壇のある部屋にいた。
合わせ鏡は、仏壇の上に置かれていた。
苺楓は、急いで繁造の仕事場に走って行った。
「爺ちゃん、ただいま。戻ってきたよ。」
「婆さんに逢えたのかい?」
「うん。逢えたよ。沢山お話しをしてきたよ。」
「そうかい。それはよかったね。」
繁造に報告すると、苺楓は涙が溢れて、繁造の前で声をあげて泣いた。繁造は、そっと背中をさすって、一緒に泣いた。
苺楓は、繁造の手を引き、庭へ連れて行った。
そこには、みつゐがいた時代に植えた紅葉が赤く色づいていた。苺楓は、紅葉の葉を一枚取り、みつゐの仏壇の合わせ鏡の隣に飾りました。
仏壇に手を合わせ
「みつゐさん。私は、貴女に逢えて
幸せです。ありがとう。」
と声に出して言った。
それに答えるかのように仏壇の上に置いた紅葉の葉が
ひらりと舞って、苺楓の前に落ちたのだった。