夕食は、結婚が決まった彰ニの彼女の和代が来て、

すき焼きを作り、皆んなで食卓を囲んだ。

苺楓は、皆んなで楽しく食べる夕食が、とても嬉しくて、楽しかった。

夕食後、和代がお土産に持ってきた苺のショートケーキを食べた。苺楓は、苺のショートケーキが大好きだった。何か特別感があり、ちょっとしたご馳走であるからだ。幼い頃は、よく食べていた。

 苺楓は、みつゐとの時間が限られているので、一緒に風呂に入り、一緒にみつゐの部屋で寝た。

布団の中では、みつゐと色々な話をし、話がつきなかった。

「明日、私は元の時代に帰る。もう婆ちゃんに逢うことが出来ない。寂しいな。」

と色々と考えると、苺楓は悲しくなり、静かに声を殺し、涙を流し、心を落ち着かせ、寝た。

 次の日、苺楓はみつゐと街を散歩し、自分が通っている小学校へ連れて行ってもらったり、商店街に買い物に連れて行ってもらった。

この時代には、まだコンビニはほとんどなく、スーパーも少なかったので、商店街は賑やかで人が沢山買い物に来ていた。みつゐとおでんの具材や野菜を買った。

買い物から帰宅し、苺楓はみつゐとの思い出を残したいと思い、ある苗木を庭に植えた。

きっと、元の時代にも存在している思い、願いをこめて。

 夕食は、おでんを大きな鍋で沢山作り、皆んなで食卓を囲み、食べた。

繁造と元の時代に帰る約束をしていたので、苺楓は皆んなに挨拶をし、みつゐに

「みつゐさん、ありがとう。逢えて嬉しかったです。色々お話し出来た事、忘れません。さようなら。」

「苺楓ちゃん、こちらこそありがとう。貴女と逢えて私は嬉しかったわ。また、来てね。元気でね。」

苺楓は、みつゐと握手をした。このぬくもりを忘れないように。そして、姿が見えなくなるまで、手を振って別れた。

 苺楓は、誰もいない路地裏に入ると、リュックから

赤い合わせ鏡を取り出しました。鏡どうしに自分の顔を写し、5番目の顔が見えたら、呪文を唱えるように

「1985年11月19日へ。」

と言うと、合わせ鏡がピカっと光、苺楓は気を失うと、合わせ鏡の中に体が吸い込まれて消えた。