司法書士の山口です。
「自己破産しても家族にばれない?」
「破産の個人情報はどうなっている?」
なるべくなら、自己破産を秘密で進めたい方も多いでしょう。
一昔前までは、
「頑張ればバレないようにできます」
ということも多かったのでですが、
破産者マップの出現で、状況がちょっと変わっていますね…。
破産者マップが閉鎖されても、また似たようなものが登場したり。
再び、新破産者マップなるものも登場しています。
今後も、同じような問題が発生する可能性はあると思います。
官報と破産者マップへの掲載
自己破産をすると、破産したことが公にされます。
それが、官報という国の機関紙に載ってしまうことです。
一般の方は、ほとんどの見たことがない官報でしたが、近年ではインターネットでも見れるようになりました。
その影響で、破産者マップ事件が勃発。
破産者マップが閉鎖されても、その次に「モンスターマップ」なるものが登場する始末。
「破産者マップの復活か…」と世間を賑わせました。
さらに、2022年6月には、新破産者マップが登場。
同Webサイトは、2009~2018年までの破産者の氏名と住所を掲載しているようです。
特徴は、6万円~12万円分のビットコインを支払えば情報を削除するというもの。
破産者へのゆすりで、お金を稼ぐというどうしようもないサイトですね。
破産者マップは「グーグルマップの進化+インターネット官報の登場」でできてしまったもの。
今後も、こうした外部的要因によって、官報の情報を悪用したものが出るかもしれません。
20年前、10年前よりは、官報は確実に身近なものになっている。
・官報という媒体に、自分が破産した事実は残ってしまうこと
・インターネットで第3者もこの事実を知ることができること
は念頭に入れておいた方が良いでしょう。
家族にバレる可能性
①家族が保証人の場合
自己破産をしても、家族に直接の影響はありません。
例えば、家族の名前が官報に載るとか、家族がブラックリストに載るということはありません。
ただし、破産する借金について、家族が保証人になっている場合は注意。
破産したらこの借金は、保証人に請求されます。
このような場合は、当然、家族に知られてしまうでしょう。
②管財事件の郵送物転送
管財事件になると、自宅への郵送物が、破産管財人へ転送されます。
(破産管財人の裁量で決まりますが、ほぼ100%と思ったほうが良い)
破産手続き中の数か月は、郵便物が自宅に届かず、管財人から受け取ることになります。
家族が、郵送物の不思議な現象に気づいてしまうと、破産を疑われることはあるかもしれません。
③配偶者が書類管理を行っている
自己破産では、裁判所への提出書類が多いです。
例えば、賃貸借契約書の写し、銀行通帳の写し、保険証券の写しなど。
例えば、夫が破産申し立てを行う場合で、こうした書類を妻が管理している場合。
「なにに使うの?」と疑われることはあるかもしれません。
④20万円以上の車がある場合
・ローン返済中の場合
ローン期間に所有権留保されている車は、ローン会社に引き上げられます。
よって、手元からはなくなります。
・ローンがない場合
20万円以下の車なら残せますが、20万円以上の車はなくなります。
なお、東京地方裁判所では、減価償却期間があります。
普通乗用車は6年、軽自動車・商用車は4年を経過している場合は、無価値の取扱いにする措置もあります。
⑤20万円以上の解約返戻金がある保険に入っている場合
保険の解約返戻金も、破産上は、みなし財産です。
そのため、20万円以上の解約返戻金があると、これも換価対象。
すなわち、保険を解約、返戻金を裁判所に納めるというわけです。
なお、保険契約が複数ある場合には、合算していくらあるか考えます。
つまり、複数の保険で20万円を超える解約返戻金がある場合には、全ての解約返戻金が換価対象です。
損害保険も解約返戻金がある場合には、合算の対象です。
また、保険会社から契約者貸付を受けているケースもあります。
この場合には、「解約返戻金-貸付金=20万円越え」なら換価対象です。
なお、保険の解約をしたくない場合。
年齢的なものでの再加入が、懸念されるケースもありますよね…。
この場合には、裁判所に解約返戻金相当額を納めることで、保険の解約はしないこともできます。