「あのー?フィール?最近やたら近くない?」
春のひざの上にはフィールが横になっている
「だって~♪好きなんだもん。好きな人に近づきたいと思うのは当然だよね?」
フィールはニンマリ笑う
(ええ?でも付き合ってるわけじゃないのにいいのかな?)
ひなは顔を真っ赤にする
(最近移動教室も一緒だし、帰りも手を繋いでるし、席も隣だし、、嫌ではないけど)
すると春が走ってきた
「2人とも距離近くないか?まさか付き合い始めたとか?」
春は平然を装う
「うん♪」
フィールは起き上がると、ニッコリ笑った
「ちょちょまだ付き合ってはないでしょ?
たしかに最近距離は近いけど」
ひなは両手を手を振りまくる
「もう付き合ってることと同じじゃん?ダメ?」
フィールは起き上がるとひなを見つめた
「ええっだめというか、好きとか付き合うとか私まだよくわからないし、、」
ひなはうつむく
(嫌がったりしないあたり、ひなはフィールに気がついてないだけで気があるのかもしれない
だけど、少しでも可能性があるのなら)
春は眉を釣り上げた
「じゃあ一ヶ月だけ俺とお試しで付き合ってみないか?」
春はひなの手を取る
「へっ?」
ひなはぽっと頬を赤くした
「そうすればどっちが好きなのかはっきりするかもしれない」
春はまっすぐひなを見つめる
「いいじゃないか、俺もそろそろちゃんとひなと付き合いたかったし♪」
フィールはその場を立ち去った
(なにそれ、フィールはお試しだとしても、他の男性と私がつき合っても平気なの?)
ひなはふてくされる
「どうするひな?無理強いはしない」
春はひなを見た
「好きって何か知るきっかけになるかもしれないし、春くんは私が好きだから失礼かもしれないけど、付き合ってみたい」
ひなは春を見る
「やったあー」
春は笑顔でひなに抱きつく
(ひゃあ春くん積極的ー)
ひなはほっぺを赤くした
「俺は小5からずっとひなが好きだったんだ。お試しとはいえ、やっとひなと付き合えたんだ。嬉しすぎるよ」
春は顔を赤くする
「付き合ってくれてありがとう。ずっと大切にするから。」
春は体を離すと、真剣な顔でひなを見た
ドキンドキン
(春くんってこんなにまっすぐに私のことを思っててくれたんだ。どうしよう嬉しすぎるよ)
そんな事を考えていたら、なんとなく涙がこぼれてきて
私は必死に絞り出すように
「ありがとう」
というのが精一杯だった
(付き合う間に、今まで知らなかった春くんをたくさん知れたらいいな)
ひなはクシャッと笑う