音楽療法をお仕事にしていたとき、臨床心理の先生の勉強会に何度か参加したことがあります。

 

 

その中で、ある現場でのセッション映像を見て感じたことを話す時間があったのですけど、私が話し始めると先生が言うのです。

 

 

「考えない。感じたままを言葉にして」

 

 

感じたままか…と思って話し始めると先生が止める。

 

 

「考えない」

 

 

私はそれがどういうことなのかわからなくて、何も話せなくなってしまって。

だけでなく、戸惑いとともにイラ立ちも湧いてきた。

 

 

(感じたことを話してるのに!)

(何が違うのか教えてよ!)

 

 

 

 

勉強会が終わると、先生がニコニコして近づいてきて言いました。

 

 

「どうでしたか?」

 

 

それから二言三言言葉を交わしたけれど、何を話したかは思い出せない。

憶えているのは、先生から発せられるものがものすごくあったかかったこと。

思わず泣きそうになるのをこらえたことも覚えてます。

 

 

あのときなんで泣きたくなったんだろう。

 

 

考えて話すことと、感じて話すことの違い。

それを初めて意識したのはこのときです。

 

 

 

 

「?」を抱えたまま、その答を積極的に求めようとすることもなく、あれから10年以上たちました。

どういうわけかここ数年、私は「感じたことをその場で言葉にする」ことに毎週取り組んでいます。

 

 

感じたことなのか、考えたことなのか。何言ってるのかわからなくなることもあるし、その場で表すことは今でもおぼろげです。

 

 

でも、この頃思うことがあります。

 

 

考えたことの話は わかる話に

感じたことの話は 響く話に

 

 

混ざり合って‟わかる”になったり‟響く”になったりもする。

どっちも素敵。

 

 

どっちも素敵だけれど、今私は感じたものが交わる関わりから生まれるものに、とても魅力と希望を感じています。

 

 

誰もが生き活きとし、お互いを尊重し繁栄する世界という希望です。

 

 

 

 

この関わりの中で、あのとき先生から感じたようなあたたかさを何度となく感じてます。その正体がわかってきたような気も。

 

 

今度は私から。

そのときそのときの私なりにあたたかさを放っていけますように。