『俺、ななちゃんの病気調べたんだ…』


私が黙っていると翼が静かに話出した。



『合ってるかはわかんないけど…たぶんなんだけど…


ななちゃんは“解離性人格障害”なんだと思う…』



解離性人格障害…?



それって多重人格とは違うの…?



『それでね、今はカウンセリングでとかで人格をひとつにまとめる事くらいしか


直す方法がないんだって…。』



カウンセリング…



実は昔高校の時に、保健の先生に連れられて行った事がある。



当時もリストカットをしていた私を見て先生が



無料でやってるから、一度でいいから一緒に行ってみようと言ったのだ。



けれど、そのカウンセラーは会ってすぐにこう言ったのだ。



『自分の中でトラウマになる様な出来事ってないかな?


思い出せる範囲でいいから話してくれないかな?』



私は正直思いだしたくもなかったし



ましてや、今会ったばかりの人間にそんな事を話す事が出来なかった。



結局そのカウンセリングはなにも話さないまま終わった。



そんな事があったから



自分にはカウンセリングは合わないと思い



それ以来行ってなかった…。



というより、もう行きたくなかった…。



『……カウンセリングはやだな…』



『…うん、わかってるよ。病院は無理に行かなくていいと思う。



『…え?行かなくていいの?』



『うん^^ただその変わり、俺とたくさん話しよう?


思ってる事があったら全部言ってくれていいからさ^^』



『………わかった……』



病院に連れて行かれるのかと思ったので



正直ホっとした。



『それでね、さっき飲んでた時の事、話してもいいかな?』



『…うん…



『実は、その時はこないだと違う人が出てきてたんだ。



マキっていう子…』






この間みくちゃんの前で出た子だ……





鼓動が速くなった…





アレもやっぱり勘違いじゃなかったんだ…






あたしの中には二人も別の人間がいるんだ……







『で、その子と話してたんだケド、やっぱりななちゃんとは全然違くて


とにかく自分中心ってゆうか、我慢をしないタイプで……』



『………』



『で、俺思ったんだけど、ななちゃんが普段思ってても出せない思いとかが


別の人格になって出てきてるんじゃないかな……』



『出せない思い…?』



『ほら、ななちゃん溜め込むタイプでしょ?』



『……でも、みんなそうなんじゃないの…?みんな色々我慢して溜めこんで


そうやって生きてるんじゃないの?』



『うん、だから俺が思ったのは、ななちゃんの場合その溜め込む容量が


もういっぱいになっちゃったんじゃないかな……』



『………』



『う~ん…なんか上手く言えないケド…。だから結局、俺が思ったのは


どの人格もななちゃんの一部だって事。』



『わたしの一部…?』



カズヤにあんな事を言ったのも




わたしの一部…?




『そう。だからまずは自分の人格を受け入れてあげる事から始めよう?』





自分の人格を受け入れる……




まだ自分が人格障害な事も受け入れられてないのに



私にそんな事が出来るだろうか……



そう考えると



どうしても逃げ場を探してしまう…





考えたくない……





またカズヤの時みたいな事になったら……



わたしの人格がまたなにかしでかしたら…



そう思うと、怖くてたまらない……




それに





こんな事に翼を巻きこんでいいのかな……





わたしと居たんじゃ翼は幸せになれない気がする……





翼と離れるのはイヤだけど




翼に甘えてこのまま一緒にいていいのかな……




ましてやこんな大変な病気を一緒に背負わせていいのかな……








そう考えるとどんどん一緒にいてはいけないという気持ちになっていった。




でも離れるには、もう少し覚悟を決める時間が欲しい…






わたしが黙っていると翼が言った。






『それでさ、こんな時だから改めて言うけど……



俺と付き合って欲しい…それで一緒にいて直していこう…?』

            

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