そう言えば産まれた時の感覚

ドゥルン

これは覚えてる。
でも、破水した記憶がない。
夫にメールをした。
「破水した記憶がないんだけど。」
「袋のまま出てきたからじゃない?」
とんでもない答えが返ってきた。
そんなのいつ聞いたのよ。え?私聞いたっけ。
袋のままとか意味がわからなかった。
母子手帳にも、どこから出てきたのか書いてない。頭位とか骨盤位とか。丸がない。

主治医が顔を出したタイミングで聞いてみた。
「卵膜に包まれながら出てきたんだよ。」
サラーっと説明された。
「へぇ〜」
なんて返事で返したけどポカン状態。
直ぐググる。

『幸帽児』

1/8万人の確率で産まれるらしい。
(情報が正しければですが…)
息子が自分の体を守りながら出てきてくれた事を知った。
私が守ってあげられなかった分、自ら守って出てきてくれた。だからバラバラでもグチャグチャでもなかった。皮膚も綺麗なもんだった。
逆子ちゃんとは言われてたけど
もはや膜に包まれてたらわからないのか。
それでも息子よ!偉すぎだ!!
産まれた時にそれを知っていたら褒めてやれたのに…。残念な事をした。

今日も霊安室へ会いに行った。
昨日よりも母乳が出る。
0.4ml程か。
まだ張りはしていない。
息子の口に絞った母乳を注射器で与える。
その瞬間、息子の口にチョンチョンと当てた母乳がスーッと消えた。

「飲んだ!」
付き添いの助産師さんに思わず伝えた。
顎を伝う事なく、消えた。
飲んでくれた。

ありがとう。
心からそう思えた瞬間だった。