☆老人操法②(高等)☆

▽自分で治そうとしても不意がない

▽勢いについて

▽体運動の正常性とは?

 

 

▽自分で治そうとしても不意がない

だからどうしても、

強い方が弱い方を

操法する

ということにしませんと、

 

がッといったときに

指を狂わしてしまう

ことがある。

 

私もその一人で、

今から四十年ほど前に、

 

こんな大きなお尻の

人をやったら、

 

ぼきっとこっちの指が

参ってしまったのです。

 

以来、この指が

狂ったままなんです。

 

他人には中々

治してくれないで

治らないんです。

 

自分でがッと引っ張ると、

自分で放す時機を

知っているんです。

 

内緒にして

不意にこう放せば

治ってしまうのに、

 

自分の場合には

「不意」がないのです。

 

みんなつつぬけなんです。

だから

自分のは治らないので、

 

右の親指の力が

弱いんです。

 

そのために、

体でその指を使っていく、

という型が

できたんだろうと

思うのです。

 

 

▽勢いについて

そんなように、

相手が勢いがいいのに、

 

こちらは無い力を

しぼりだすようにやると、

自分の指を毀します。

 

どんな操法でも、

やる人に勢いが無い時は、

無理があるんです。

 

意識してやるのだから、

勢いが無くても

出来るかというと、

 

そうではなくて、

指が歯が立たないのです。

 

根本的には、

やる方が気力が

満ちていなくては

駄目で、

 

気勢が上がらない

人がやると、

 

ちっとも中に力が

入っていかないんです。

 

へなへなでも

操法はできるんです。

 

触手法と違って、

ショックするだけ

なんですから、

 

出来ることは

出来るんですが、

 

「機」とか

「度」というものを

得るのには、

 

勢いがないと

うまくいかない。

・・・

気勢が上がらない時、

はっと押さえたが

力が入らない時、

 

相手はそれを

すぐに感じるんです。

 

自分の手が

乾いているような時は、

 

ガッとやろうとしても

入らないんです。

 

手に湿気があって、

キュッと握って

力が入るときは、

フッと押さえただけで、

 

相手はピタッと

押さえられた感じ

がするんです。

 

その押さえられた

感じというのは

非常に大事なもので、

 

これを特に

御研究願いたい

と思います。

 

操法しての

感じでなくて、

 

操法するために

押さえた時の感じが

満ちているかどうか。

 

今日、

気勢を上げる方法を

説明致しましたのは、

 

受ける側よりも、

やる側の

L4が下がっていることを

少なくするためでして、

 

皆さんが

気勢を充たして

操法していく

ようにするための、

 

皆さんにとっての

養生法になるためです。

 

皆さん方が

他人の操法を受ける

場合に害のない、

 

そして

効果の多い場所、

下手にやっても

大丈夫な場所、

練習にはもってこいの場所

としてご紹介したわけです。

 

 

▽体運動の正常性とは?

今月は

これでこの講習は

休みになりまして、

 

来月の

十五、十六に続きます。

 

ですから

四十日休みが

あるわけです。

 

倉敷講習の為に

あけるんですが、

 

その間

皆さんどうぞ練習して、

仙椎部の押さえ方などを、

特に受けるほうにまわって、

 

気力を蓄えられると

いいと思います。

・・・

この間、中等組で、

「整体操法の目的は何か」

と訊いたんですが、

なかなか答えられない。

 

それをみていて、

もっと<理解度>

という面も

入れなくてはいかんな

と考えたんです。

 

たとえば、

整体指導の目的は、

<体運動の正常性の確保>

であります。

 

体運動の正常性

というのは、

 

<敏感な感受性と

充実した反応力>

ですが、

 

それは

<体の運動の整った状態>

ということで、

 

そういう状態を

確保するよう導く、

ということです。

 

健康にするためとか、

病気を治すため

ということが

目的ではない。

 

こういうことは

人間の観念が

産み出したもの、

 

人間が知識を持って

作り上げたもので、

 

そういうもの以前の、

エネルギーの集散と

快感とか、

 

敏感な感受性や

反発力とかいうような、

 

<直接体力に

根差している問題>

のほうが重要で、

 

病気などの観念に

とらわれると

却って乱れる。

 

そういう為に、

ここではただ、

 

<緊張、弛緩の調和>

するという、

 

それだけを目標として、

<体運動の正常化の確保>

 

ということを

やっている

のでありますが、

 

今まで講座の中に

あった問題を、

 

一応

<整体指導の理解>

という面で、

 

休みの間に

おまとめ頂きたい

と思います。

(終)