亀も空を飛ぶ | 吉井歌奈子オフィシャルブログbyアメブロ

亀も空を飛ぶ

私の映画の趣味を知っている友達からおすすめのDVDCDを貸りました。

今日のブログのタイトルそのまま「亀も空を飛ぶ」という、

クルド人監督による2004年の映画です。



折りしも5年前の今日アメリカ軍がイラク侵攻をした日。

イラク戦争下の子供たちを描いているこの作品に、私は呆然とさせられました。


悲惨すぎる疲労感とも、やり場のない怒りとも違う何かで。



これまで「グアンタナモ」、「Little Birds」、「華氏911」など、

イラク戦争で傷ついた人たちを描いたドキュメンタリータッチの作品は何作か観ました。

でもどの作品にも似かよらないのは、この作品が反戦一色の感想にならなかったからだと思います。


戦地を俯瞰で見させない―――


地雷で両手を失った子、足を失った子供は

ここでは普通のことだとすぐに気づかされます。

算数ができても、

食べるために地雷を探して売らなくてはいけない子供たちの日常。

監督は戦地で生活している人の現実を浮き彫りにします。



この映画の主人公はDVDジャケットの女の子ではなく

そこに生きる大勢の子供たち全員です。



子供たちは絶望することもなく、

置かれた現状の中で大人よりもはるかに力強くいきています。

死の危険が隣に在るからこそ、たくましく生きる彼らのエネルギーに、はっとさせられました。



映画は98分でしたが劇的に変わっていないだろう子供たちの現実を、監督は映画を通して伝えたかったのではないでしょうか。