文化放送メールマガジン。

【水谷加奈の劇場型恋愛体質】より。


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午後2時ごろ。京浜東北線の最前車両。

運転席の後ろで流れゆく景色を見ていたら、

80代半ばくらいのおじいさんが乗ってきました。

紺のジャケットにスラックスという出で立ち。小柄で白髪、品のいい男性です。

少し足元がおぼつかない様子だったので

手すりにつかまれるようにと私が横にちょっとずれたところ

「これはこれはありがとう。

私はね運転席の後ろに立って景色を見るのが好きなんですよ」

とのこと。

「私も好きですよ」

と頷くと、

「これから●●に勤めていた時の集まりがあるんですよ」

と、大手企業の名前を出されました。

「かわいいお嬢さんたちも、もうみんなおばあさんなってしまいましたけどね」

ぽつりぽつりとお話になるのを私は黙って聞いていました。

すると、

「東京にもこんな美人がいらっしゃるのですね」

と真面目な顔でおっしゃるので、お世辞だとはわかりつつまんざらでもない私。笑

「東京にはたくさん美人がいますよ」

と答えたところ、

「いや、心まで美しい女性はなかなかいないですよ」

と微笑んでくれました。
その男性は品川駅で降りて行かれたので御一緒したのはほんの一駅でしたが、
なんだかとっても豊かな時間を過ごした気がしました。 
女性に対して美人だねキレイだねなど言いにくい、
他人にはなかなか声をかけにくいという世の中ですが、
こういう何気ない会話をしあえるというのは貴重だと思います。
もしかしたらお年寄りの特権かもしれませんね。
美人だキレイだと褒めても、外見をとやかく言うなと怒られる昨今ですが、
キレイだねと言われて嬉しくない女性っているのたろうか?わたしゃ嬉しいわ。